「この国では、性行為が禁止されている」
衝撃の文言でスタートする、マンガ『アカイリンゴ』(著:ムラタコウジ)。そのコミックス第1巻が本日9月9日に発売された。性行為が違法となった架空の日本を舞台に描かれる、禁断の物語である。
フィクションの世界のことではあるが、そもそもなぜ、性行為が禁止されることになったのか。
主人公は、「セトリ(厚生労働省性行為取締官)」の幹部を父に持つ優等生・犬田光。「異性との距離はテレビ越しくらいがちょうどいいもんだ…」と考えるどこか達観した少年だが、悪友シバに連れられ初めて訪れたクラブで、衝撃的な光景を目にする。
そこには、酒と音楽にまみれ、激しく絡み合う男女の姿が…。違法なはずのその行為を目にした瞬間、犬田の体を未知の“衝動”が駆け巡る。そしてその“衝動”が、犬田の運命の歯車を狂わせていく――。
どのようにしてこの設定が生まれたのだろうか。担当編集者に話を聞いた。
「本作の舞台は、法律により性行為が禁止された令和XX年の日本。なんとも荒唐無稽な設定…(笑)。ではありますが、いまや20代男性の約4割が童貞といわれ、夫婦のセックスレスはもはや普通。21世紀以降“セックス離れ”が加速し続ける日本においては、決してリアリティーのない話とは言い切れないと思います。
もしもセックスが違法になったら。そんな世界はディストピアでしょう。しかし本作の主人公である高校生の犬田にとっては、それが当たり前の、健全で平等なユートピアでした。『セックスに手を染める奴は人間やめたバカ』『キスはセックスへのゲートウェイ行為だから危険』と信じて疑わないエリート高校生・犬田が、セックスの魅力に取りつかれてしまい、人生の迷宮に迷い込んでいくさまをお楽しみください」
人間の「理性」と「本能」について改めて問いかける衝撃作。怒涛の展開を堪能してほしい。