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日本製世界No.1スパコン「富岳」の天下がしばらく続きそうな理由

米中ハイテク覇権争いの影響がここにも

今年6月、スパコンの世界ランキングで8年半振りに日本の首位を奪還した理研・富士通の「富岳」。スパコンが次なる「エクサ・スケール」に向けて世代交代の時期を迎える中、「富岳の首位は短期間に終わる」との見通しも囁かれたが、ここに来て相反する見方も出てきた。米中のハイテク覇権争いの影響等から、両国の次世代スパコン開発が滞る気配があるのだ。

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米国のスパコン開発に遅れ

最近の米メディア報道によれば、世界初のエクサ・スケールに到達するスパコンの有力候補と見られた「オーロラ(Aurora)」の開発がかなり遅れているという。オーロラは米エネルギー省の発注を受け、米インテルと(米HPE子会社の)クレイが共同で開発を進めている次世代スパコンだ。

米国のスパコンは従来「核実験のシミュレーション」など軍事用途を念頭に開発されてきたが、民生用にももちろん使われる。エクサ・スケールに到達するであろうオーロラの場合、たとえば「コネクトーム」と呼ばれる脳内のニューロン接続図、ひいてはアルツハイマー病など深刻な認知症の治療研究にも応用できると期待されている。

当初の計画では、オーロラは2021年までに(エネルギー省の管轄下にある)アルゴンヌ国立研究所に納入され、稼働を開始する予定だった。ところが主にインテル側の技術的問題から、オーロラが当初の計画通りに完成・納入されるのは、ほぼ絶望的になったという。

 

このオーロラ以外にも、米国にはエクサ・スケールを目指して開発中のスパコンが2台ある。が、いずれの完成・納入時期も(開発が順調に進んでも)2021年後半~2022年であることから、少なくも米国勢が来年中に次世代スパコンを稼働させるのは微妙な情勢となってきた。