以上で見たように、厚生労働省のオンラインシステムは、つぎはぎの集積としかいいようがない。全体の体制との役割分担を考えずに、個別のシステムを作っている。
なぜこんなことになるのだろうか?
その原因として、上記「つぎはぎIT、厚労省迷走」は、つぎのことを指摘している。
この説明は、納得的だと思う。
2010年代から、クラウドを活用したシステムが広がってっている。アメリカでは国防総省や中央情報局(CIA)でも、クラウドを積極的に取り入れている。
これに対して、これまでの日本では、上に述べたように、クラウドを敬遠する傾向があった。
ところが、日本政府もやっと重い腰を上げて、2020年内に各省庁のシステムを集約する基盤にクラウドを採用することを決めた。
そして、2020年秋に運用開始予定の「政府共通プラットフォーム」において、アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を採用することを正式に決めた。各省庁は今後システムを開発し、4〜8年かけてクラウドに移行する。
AWSプロジェクトの規模は、約7000億円の日本政府の総IT予算のごく一部にすぎないが、外国製のシステムが、国内大手企業を差し置いて採用されたことに注目したい。
これまでの経緯を考えると、日本政府の大英断と評価できる。しかし、果たして円滑に導入が進むだろうか?