新型コロナの影響で注目を集めている「マッチングアプリ」。スマホ一つで新たな出会いを探せるため、婚活の主流となりつつあります。

FRaU webでは、実際の取材に基づいた「アプリ婚活」のリアルを、共著作家の山本理沙さんと安本由佳さんによってノンフィクション小説としてお届け。アプリの「モテ技」テクニックも満載です。

主人公はコロナ禍で孤独を極め、本気でアプリを始めたアラサー男女。「結婚とは」「幸せとは」について見つめ直していくなかで、果たして二人はベストパートナーにたどり着けるのでしょうか?

【これまでのあらすじ】
同期に勧められアプリに登録した工藤直彦だが、なぜかまったくモテない。苦戦の中、留美とのデートにこぎつけるも余計な一言で大失敗。アプリの女王・さくらとは音信不通、おっぱい釣り女に暴言を吐かれ、Twitter婚活垢で晒される…しかしついに条件ぴったりの女性・百合に出会った
これまでの連載「本気でアプリを始めたら」を読みたい方はこちら

アプリ婚活は「ありのまま」が一番?

――ああ……恥ずかしい……。

サウナにいるような暑さの中、直彦は動揺を落ち着かせるためひたすら歩いた。

表参道で留美の姿を見かけ、デート中の百合を放置してまで追いかけたのはつい先ほどのこと。

息を切らして駆け寄ると、留美から普段の威勢はすっかり消え、ひとまわり小さく見えるほどに落ち込んでいた。

珍しく自分を「下らない女」などと卑下する彼女の顔は、これまでになく暗い。

いてもたってもいられなくなった直彦は、思わず「留美さんはありのままでいいんです……!」と叫んだ。そして留美から「アナ雪の歌みたい」と笑われた。

……思い返すと顔から火が出そうだ。

しかし後悔はなかった。バカなこと言ったなという照れはあっても、たとえ束の間でも留美に笑顔が戻って嬉しい。やはり追いかけて良かった。

『元気出してください。愚痴でもなんでも話ならいつでも聞きます!』

信号待ちの隙に留美宛のDMを作ると、直彦は晴れやかな気持ちで送信ボタンを押した。