江戸川区がHPで公開しているハザードマップ

台風10号猛進…「ここにいてはダメです」江戸川区が前代未聞のハザードマップで呼びかけた理由

今後、19号クラスの台風は頻発する

9月に入り、天気図の右下あたりには常に台風の巨大な渦が見えるようになってきた。そこで誰もが思い出すのは昨年10月、関東から東北までの東日本全域に渡って東日本大震災以来の広域被害をもたらした台風19号のことなのではないだろうか。

台風19号は2019年10月12日19時前に大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸した後、関東地方を通過し、13日未明に東北地方の東海上に抜けた。10日からの総雨量は神奈川県箱根町で 1000ミリに達し、東日本を中心に17地点で500ミリを超えるなど、各地で大雨の記録を塗り替えた。

また東京都江戸川臨海では観測史上1位の値を超える最大瞬間風速 43.8メートルを観測するなど、関東地方の7か所で最大瞬間風速40メートルを超える暴風となったほか、東日本から北日本にかけての広い範囲で非常に強い風を観測した。

気象庁が発表した9月2日11時時点の台風情報
 

これまでの標準的な台風は赤道あたりで発生し、台風銀座といわれる九州四国紀伊半島あたりに上陸し、北上する間に勢力を弱め、関東・東北に来るころには比較的おとなしくなるのだが、19号の場合は上陸しないまま海上を進み、エネルギー源である水蒸気をたっぷりと補給した状態での関東直撃となった。

上陸直前の中心気圧は955hPaで18年の台風21号(950hPa)とは同程度、1959年の伊勢湾台風(929hPa)、61年の第二室戸台風(925hPa)よりは弱いが、関東地方にやって来た台風としては異例の強さだった。

しかも専門家は、このような台風は今後異例ではなくなり、どんどんやってくるようになると予測している。たとえば気象庁の気象研究所と海洋研究開発機構の共同研究チームによるシミュレーションでは、地球温暖化の影響で850hPaを下回る、すさまじい勢力の台風もありえるという。

こうした予測をもとに、東京都江戸川区では昨年5月、水害(洪水・高潮)ハザードマップを作成し、「ここ(江戸川区)にいてはダメです」と異例の広域避難を呼びかけた。

経験したことのない巨大台風や大雨の恐れがある場合には、区内の避難所ではなく、より安全な区外へ逃げなさいというのである。

マスコミならともかく、行政がこんな呼びかけをするのは珍しい。