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「次の総理」菅義偉はなぜ頼られるのか、圧倒的な危機管理能力と決断力

象徴的だった「GoTo」と「官邸ポリス」

「雪崩を打って」というしかないのが、「勝ち馬」に乗ろうと、菅義偉官房長官の支持に回った自民党各派閥の姿である。

「安倍後継」といわれていた岸田文雄政調会長、国民的人気の高い石破茂元幹事長は既に敗色濃厚で、「病に倒れた安倍首相の“弔い合戦”を菅新首相のもとで行う」といった観測気球が早くも飛び交う。

内閣支持率は急速に持ち直しており、10日に代表選が決まった立憲民主党と国民民主党などの合流新党に、混乱が見られ、統一感がない間に、解散総選挙を行って、現在の3分の2を占める与党勢力を維持しようという思惑である。

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二階氏の思惑と菅氏の決断

流れを作ったのは二階俊博幹事長だ。

二階氏は幹事長を継続、同時に「観光のドン」として、疲弊する観光地の旅館、ホテル、バス、タクシー、土産物屋などを救済、人の移動を促すことで飛行機、新幹線、鉄道などの業界を活性化させたかった。菅氏は、その思いをすくい取った。

筆者は、本サイトで<菅官房長官がついに大勝負に出た…「ポスト安倍」仁義なき戦いの勝算>(7月30日配信)と題し、二階氏の思惑に乗りつつ、首相候補に名乗りを挙げた菅氏の「政治家としての決断」について触れた。

菅氏は、7月22日、GoToトラベル事業を前倒しでスタートさせた。新型コロナウイルスが第2波の兆しを見せていただけに、「時期尚早」という批判もあるなか、あえてリスクを取ったのは、それがキーマンの二階氏との連帯を証明するものであるのに加え、「経済を回すべき」という信念からだ。

 

新型コロナは、8割以上の感染者にとっては軽症か無症状で、「単なる風邪」の域を出ない。怖いのは、ワクチンも治療薬も治療法もないなか、70代以上の高齢者や既往症、基礎疾患のある人は、重症率、致死率ともに高いことだ。

風邪ですらない無症状の若者が、老人に感染させ、死に至らしめる――。

これがこのウイルスの怖いところで、だから指定感染症として、SARS(急性重症呼吸器症候群)、ジフテリア、結核に相当する第二類相当の厳しい措置が取られているが、それが原因で、旅行、飲食、集会、スポーツ観戦、映画・演劇・コンサート鑑賞などすべてに自粛が要請され、経済は3割も収縮した。

経済の死は人の死に直結。そこに踏み込むことが政治家の務めだと、「ステイホーム。動かないで!」と、呼びかける小池百合子東京都知事を無視、「動くな、というなら東京は除外」と、露骨な嫌がらせでGoToトラベルから東京を外した。

この時点で、「安倍首相の病による退任」を知っていたわけではない。ただ、今井尚哉首相補佐官兼秘書官と菅官房長官に、左右から支えられていた安倍氏は、今井氏が「菅氏の首相への色気」を疎んじ、安倍氏への讒言を繰り返すなか、一時、菅氏に距離を置いていた。

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