天皇の「コロナ関連発言」から見えた、上皇との「大きな違い」

「国民と同じ方を見る」
大木 賢一 プロフィール

私は以前、この「現代ビジネス」の場をお借りして、「天皇はビデオメッセージなどの形で、コロナ禍の国民に対して直接語り掛けるべきではないか」との主張をしました。コロナ禍の中で、天皇や皇室の存在感が薄れてゆくのを危惧してのことでしたが、その考えも、今回の「お言葉」によって微妙に変わってきました。

また、この「お言葉」には「天皇と国民の関係性」についての、陛下独自の考え方も滲んでいるように思います。その考え方とは「どこまでも、とことん国民と同じ方向を向く」という陛下の指向性です。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

「お言葉」は、(1)追悼(2)コロナ禍(3)非戦の誓い、という3部構成になっていますが、「戦争」と「コロナ」とを、「苦難」という共通の言葉で繋げています。戦争と復興というかつての苦難、そしてコロナという別の苦難。コロナウイルスによる苦難を戦争に匹敵するものとして扱っていることは、「私たちは今」「新たな苦難に直面」という表現によって明確に読み取ることができ、国民が今置かれている困難な状況を、陛下が非常に重く受け止めていることが分かります。

「国民と同じ方向を向く」というのは、コロナ禍を乗り越え、幸せと平和を希求しようとする行為の主語が「私たち」であることや、追悼と日本の発展について「全国民と共に」と表現していることから感じ取った私の印象です。

私も含め、周囲には「戦没者に向かってコロナ禍の話を語りかけても意味がないだろう」との思いも当初はありましたが、考えているうちに「これは陛下が、かつての苦難に倒れ、あるいは苦汁をなめた方々に向けて、コロナという新たな困難を私たちが克服することを『誓う言葉』であり、全国民に成り代わって発せられた言葉なのではないか」と思うに至りました。

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