〔PHOTO〕Gettyimages

天皇の「コロナ関連発言」から見えた、上皇との「大きな違い」

「国民と同じ方を見る」

戦没者追悼式で語ったこと

新型コロナウイルスの感染拡大が国民生活に多大な影響を与える中、天皇陛下が初めて「コロナ禍」に言及されました。少し前になりますが、8月15日の全国戦没者追悼式でのことです。

「お言葉」の中の、戦没者を悼み遺族を思いやる部分は昨年とほぼ一言一句違わぬものでしたが、コロナ禍にも触れたことに注目が集まりました。陛下はこれまで、ご進講を受けた専門家への労いなどの他には、コロナに関して「沈黙」を続けていました。まずは追悼式での「お言葉」全文をご紹介しようと思います。

本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。終戦以来75年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。

私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。

ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

この文章を初めて読んだ時、私は「コロナ」に関する言及が、いささか唐突であるような印象を受けました。単に戦争の惨禍に関する言葉の間に無理に挟み込んだだけではないか、とも思いました。

ですが、その文章の構成について私なりに考察した結果、これは陛下がご自分でよくよくの熟慮と推敲を重ねた末に練り上げられたものであるように思え、私自身の考えを改めるようになりました。