証券業界に大激震…! 営業マンが売りまくる「仕組み債」のヤバすぎる現実

コロナ禍で「損する人」が続々と…
浪川 攻 プロフィール

営業担当者たちの「抜け道」

いうまでもなく、投資は自己責任である。しかし、投資に慣れていない個人顧客の認識は一様ではなく、「理解したつもり」でいるケースも少なくない。それを営業担当者が見抜くことができるかといえば、これもまた曖昧だろう。そんな微妙な状況の中でも立ち止まらず、強引に物事を前に動かそうとするのは、個人顧客が抱く欲望と、営業担当者が背負っている営業目標のプレッシャーだろう。

冒頭のエピソードを例にすると、主婦は早期償還で多少なりとも利益を得て、「二匹目のどじょう」を狙いたいに気持ちに駆られた。一方の営業担当者はどうか。

この大手証券は、営業評価を「顧客本位の業務運営に資する」体系に変更したとされている。基本的に手数料収益ベースだった営業目標を、顧客の新規買付額ベースに切り替えたわけだ。これによって、手数料収入目標の達成に向けた過剰なプレッシャーからは緩和され、「顧客資産の積み上げ」という地道な取り組みが重視されるようになったはずである。

ただしこうした場合、往々にして起こりやすいのは、「抜け道を探る動き」である。

 

これは「新規資金」の定義の問題でもある。評価体系の変更によって、確かに投信の乗り換え営業による「回転売買」で手数料を荒稼ぎする行為は抑制できるかもしれない。投信の売却資金は、再投資の際、「新規資金」として扱われない=営業評価でプラスにならないからだ。

ただし、早期償還によって顧客に戻った償還資金や満期資金が、再投資の際、「新規資金」という扱いになれば、早期償還の確率が高い仕組債の販売に拍車がかかるのは必然だ。

「早期償還→新たな仕組債投資→早期償還→新たな仕組債投資……」という循環のもと、営業担当者は同一顧客の同一資金による反復投資を行えば、新規買付額という営業成績を積み上げることができるし、なおかつ、投信の「回転売買」と類似したこの仕組みによって手数料収入を稼ぎ出せるというわけだ。

この循環が続く限り、利息収入はわずかではあるが、それを享受できるとしたら不満を抱く顧客はいないだろう。だが、ここで注意しなければいけないのは、これはあくまでも、株式相場が上昇し続けているうちの話に過ぎない、という点である。逆に大幅に下げてしまうと、ノックイン・リスクが高まる。