久保が選んだクラブにいる日本人女性

スペインリーグでビジャレアルへ移籍した久保建英(19)に注目が集まっている。スポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」では、8月下旬から始まったビジャレアルのプレシーズンマッチを配信中。昨年も同リーグの日本での視聴率トップ10のうち、8試合が久保が在籍していたマジョルカ戦であり、日本での注目度は高まる一方だ。

現地でも大歓迎されいてる久保建英。流ちょうなスペイン語でのあいさつがビジャレアル公式インスタグラムにもアップされている 写真/ビジャレアル公式インスタグラム@villarrealcf より

その久保が初めてクラブハウスに訪れた際、「よろしくお願いします」と深々と頭を下げ、お辞儀をする写真がビジャレアルの公式インスタグラムにアップされている。挨拶されたその女性が、長くビジャレアルの育成に携わっている佐伯夕利子さんだ。

スペインで、女性として初めて「プエルタ・ボニータ」というクラブの監督に就任した。当時3部リーグだったとはいえ、日本で言えば女性がJ3のクラブを率いているようなもの。その後、ビジャレアルの女子チームの監督を務めるなど指導者としての経験を積み、現在は同クラブフットボール総務部に在籍している。

そんないぶし銀の実績を持つ彼女の存在が、久保の移籍に影響を及ぼしたかどうかはわからない。ひとつ確かなのは、久保が選んだクラブは6年前の2014年に指導方法の変革を図っており、これにひとりの日本人女性が大きくかかわったということだ。

スペイン代表に最多4選手を送り出すチーム

前季5位とリーグAクラスに君臨するビジャレアルは、昨季でいうとトップ25名中11名がホームグロウン、つまり下部組織から育てた“自前”選手がすこぶる多い。各年代のスペイン代表に各々1名以上送り込む。

パウ・トレス(写真後ろ右から2人目)はじめスペイン代表に最多4選手を出す Photo by Getty Images

「ビジャレアルのカンテラ(育成組織)はヨーロッパ及びスペインで最も堅実な育成機関と評されている。実際、昨年11月招集のスペイン代表には最多4選手が選ばれました。また全カテゴリーの世代別代表チームに選手を送り込んでいるのは我々とバルセロナだけ」
佐伯さんは7月にオンラインセミナー「『教える』からの自由。」(リベルタ学舎主催)で、そのように述べている。

佐伯さんが開催したオンラインセミナー「『教える』からの自由。」にて 写真提供/島沢優子

育成と言えば、サッカーが上手くなるコーチング? と思われるかもしれないが、ビジャレアルのそれは「人としての成長に軸足を置いている」(佐伯さん)。
人としての成長と言えば、人間力という言葉が頭に浮かぶ。日本で内閣府が「人間力戦略研究会」で議論したり、文部科学省が「人間性を問う大学入試改革」を目指したりと、日本でも注目されている。