# Vtuber

月給1000万円超のVtuberも!2大事務所「にじホロ」のスゴい戦略

急成長する市場と、ウラにある課題
古田 拓也 プロフィール

にじさんじ ・ホロライブのビジネスモデル

Vtuber業界で近年隆盛を極めている「にじさんじ」と「ホロライブ」だが、両社は”Vtuber四天王”が得意としていた、VR技術やモーショントラッキングによる動画製作活動をメインとしていない。活動内容の大半が、二次元イラストモデルによるゲーム実況や雑談配信で構成されており、3Dモデルでの配信は、記念やイベントでまれに行われる傾向にある。

この点については、「本来は新技術を活用したコンテンツだったはずのVtuberが、既存文化のゲーム実況や雑談に甘んじている」と批判する声も小さくない。しかし、経営的な観点でみれば、このような運営戦略はむしろ優れていると考えられる。

まず、3Dモデルを活用した配信は、タレントがVR機器と、体の動きを捉えるトラッカーを装着したり、体の動きを追尾できる特殊なカメラを用いたりしてリアルとバーチャルの動きを同期させている。違和感のない配信のためには、バーチャル空間と同じ広さのスタジオを用意する必要があり、タレントをサポートする専門のスタッフの助けも必要だ。

一方で、2Dモデルの場合は、タレントをサポートする補助人員やVR機器、スペースの広さも不要だ。2D配信のデファクトスタンダードであるFaceRigをPCにインストールすれば、WEBカメラに自身の顔を同期させるだけでVtuberとしての配信設定が完了してしまう。

全てのタレントに一律で3Dモデルの配信環境を提供してしまえば、ただでさえひっ迫しているリソースに一層余裕がなくなり、運営状況が破綻するリスクがある。そもそも、顧客の満足度を維持できるのであれば、3Dか2Dかという観点は供給者目線に過ぎず、新技術を無理に活用することはユーザーニーズに即しているといえない。

また、Vtuberはアニメのキャラクターとは異なり、「容姿と声が一蓮托生である」という特徴がある。つまりTVアニメ等でよく見られる声優の変更は、Vtuberにおいてはタブーであり、モデルの再利用がほぼ不可能だ。質によっては100万円をゆうに超える3Dモデル。これがお釈迦となり、再利用もできないリスクから考えれば、収益の柱となるライバーにのみ3Dモデルを提供することはむしろ自然な選択であるのかもしれない。

また、人気が出たVtuberのみ3D化するという戦略には他にもメリットがある。桐生ココ氏は6月27日に3Dモデルのお披露目配信を実施した。この配信では、10万人以上が同時視聴し、わずか1時間で過去最高となる約877万円もの投げ銭を得たと推定されている。

イベントを告知するカバー株式会社のプレスリリースより
 

ファンにとっては”推し”の3D化はこれほどの悲願なのだ。仮に桐生ココ氏が初めから3Dであったとすれば、3Dである特別感もなければ、「私たちがココ氏を3D化に導いたのだ」というファンの帰属意識の高まりもなかったことだろう。

「ホロライブ」や「にじさんじ」 が2Dをメインに活動する背景には、この方針がファンにとっても事務所にとってもメリットの大きい選択であることにあると考えられる。

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