筆者撮影

「日本のお茶」がコロナでピンチ…「茶畑のある風景」が消える日

増え続ける「耕作放棄地」をどうするか

「当たり前」が消えていく

“夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みぢやないか
あかねだすきに菅の笠”(民謡『茶摘』)

東海道新幹線は下り大阪方面、山側の風景が観えるE席に指定を取る。東京からおよそ1時間、三島駅にさしかかったあたりで、車窓から鮮烈に輝くグリーンが視界に飛び込んでくる。日本随一の生産量を誇る、静岡の茶畑だ。

もちろん静岡だけでなく、日本各地に茶畑の風景は広がっている。出張がちで新幹線を毎週のように利用する人、帰省のたびに田舎に帰る人は、別段茶畑なんて物珍しいものでもないかもしれない。

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だが、そんな日本特有の田園風景が、近年急速に失われつつある。このままでは、日本の「当たり前」がなくなってしまう危険性がすぐそこまで迫っているのだ。

「若者のお茶離れ」「後継者不足」といった言葉は、別にお茶に限った話ではない。だが茶業界においては、今年はコロナのダメージが特に大きかった。かつては日本の主産業だった茶業界の衰退は、歯抜けのように進んでいく。

どういうことか、順を追って説明していこう。以下のグラフは、茶の市場価格の推移を示したものだ。お茶は収穫のタイミングによって一番茶(新茶)、二番茶、三番茶と呼ばれ、1年で最も早く収穫される一番茶が最も品質に優れ、市場価格も高くつく。

 

そんな茶農家の生命線とも言える一番茶の価格は、過去16年間で30%以上下落した。実は、年々日本茶の消費量は落ち込んでいる。それに今年は、コロナの影響が重なった。