夜、子どもを寝かしてから「家を出る」シングルマザーふたりの言い分

そして直面した「小1の壁」
秋山 謙一郎 プロフィール

子どもを寝かした後、働く

すこしでも貯蓄を増やそうと、夜も働きに出ているモモコさんだが、その時間帯、子どもをひとり家に置いておくことは、どうしてもできない。実家の両親に頼りたくとも、どちらもすでに他界している。離婚理由が理由だけに元夫や元義家族に頼める訳はない。

それでも、週のうち、2日か3日、夜、働きに出る。繁華街のスナックで夜8時から深夜3時までの勤務で、時給は1500円だ。時給に若干の不満はあるが、経営者や同僚の人柄、そして客層がよく、子育てに理解を示してくれるところがありがたく、居心地がいいという。

職場には恵まれたものの、深夜、家に子どもを寝かしつけて、外に働きに出ていることには、すくなからず後ろめたさがある。モモコさんは言う。

「もし、子どもが夜起きたら、とても不安だということはわかっています。でも、お金は必要です。子どもが大きくなって、少ない額かもしれませんが、お金のことで進学ややりたいことを諦めて欲しくない。だから今は、我慢してもらうしかありません」

夜、彼氏に会いに行く、生活費を稼ぐために働きに出る――どちらも、夜、子どもを置いて外に出ることには変わりはない。そして、そのふたりのシングルマザーたちの言い分は大きく異なる。だが、夜、家に子どもたちだけで過ごし、母親がそこに居ないという状況は同じだ。

 

児童福祉行政の担当者が抱く懸念

こうした状況は、児童福祉行政はどう捉えているのか。東京都、大阪府、大阪市、神戸市といった地方自治体の担当部署に聞いてみた。その担当者たちの声は概ね、次で一致していた。

「夜、家に居ない理由は、彼氏に会いに行こうが、働きに出ていようが、あまり関係ない。むしろ気になるのは、夜、家に親が居ない状況の状態化で、親と子どもとの間に、何らかの愛着に障害が出てくるのではないかということだ」

問題は、「夜、家に親が居ないことが当たり前となることで、親と子どもの関係に、今、もしくは将来、何かあるかもしれない」ということである。また、そこに年齢の問題も覆い被さる。大阪市の児童福祉担当者は、記者からの問いに、こう補足した。

「そのお子さんが、中高生なら、細かいことはさておき、我々もまだ心配が少ない。でも、乳幼児とか小学校低学年となると、それは、とても心配ではある……」