子どもの将来に重きを置き、母である前にひとりの女性としての生き方を貫くリカさんとは対照的に、母としての立場に重きを置く生き方を選ぶシングルマザーもいる。
大阪府に住むモモコさん(仮名・35歳)は、子どもの将来よりも“今”を気にしている。現在、小学1年生の子どもとふたり暮らし。結婚前は派遣社員として働いていたが、結婚後は専業主婦に。ギャンブルが原因で元の夫と離婚、現在は、昼夜、パートタイムを掛け持ちして家計を支えている。先のリカさん同様、元夫から慰謝料や養育費といったものはもらっていない。離婚することを優先したかったからだという。
モモコさんの年収は、昨年で、およそ350万円程度だったという。今、シングルマザーの平均就労収入は181万円(厚生労働省『全国ひとり親世帯等調査』<2016年>)といわれている。この平均就労収入額を上回ってはいるものの、やはり生活は厳しいと話す。
「幸いにも、離婚後、しばらく派遣社員として働いていたこともあり、その時、住宅ローンの審査が通りました。だから、かなり無理して買いました。これは将来、子どもに残せます」
今、モモコさんの心配は、たったひとりの子どもに家を残せても、教育を受ける機会を与えられないことだ。それこそ習い事や、進学塾とまではいかなくとも、学校の学習に難なくついていくための学力を身に着けるための勉強はさせてあげたい。しかし、その経済的余裕がない。将来、子どもが進学した時に備え、せいぜい学資保険に入るくらいのことだという。
「親の都合で、ひとり親にしてしまい、子どもの将来の可能性を奪ってはいけないと、頑張っているのですが、状況はとても厳しいです。コロナ禍の影響もあり、仕事もシフトに入れてくれないことも出てきましたから。経済的不安は大きいです」