夜、子どもを寝かしてから「家を出る」シングルマザーふたりの言い分

そして直面した「小1の壁」
秋山 謙一郎 プロフィール

「母である前に、ひとりの女」

「夏休みとか、まとまった休みの日には、行政やNPO、塾が主催しているキャンプに行かせたりしています。子どもの教育と将来の投資という意味もありますが、『私の時間』をお金で買うため……。これに尽きます」

リカさんが言う、“私の時間”とは、冒頭部でも紹介した「彼氏と会う」ことに尽きる。10歳年上の彼氏は離婚歴ありの子なし。現在は、リカさんたちファミリーが暮らす家から、歩いて5分程度、「スープの冷めない距離」にあるマンションで暮らしている。

「一緒に暮らすとなると、彼も、子どもも、私も、急激な環境の変化で戸惑いもあると思います。だから、たまたま私たちが住んでいる家の近くにいい物件がありましたので、そこに彼に引っ越してきてもらいました」

彼氏との結婚も将来的には考えているが、子どものメンタル面や苗字が変わることなどなど、クリアすべき課題は山積だ。だから当面の間、彼氏として交際は続けても、結婚して同居するという選択肢はないという。もちろん、この彼氏からも経済的援助の類は受けていない。

 

そうした現状から自然発生的に浮かび上がったのが、平日、夜、リカさんの家で彼氏と、そして子どもたちと一緒に夕食を囲み、子どもたちを風呂に入れ、寝かしつけてから、彼氏と一緒に、彼氏の住むマンションへ行き、朝まで一緒に過ごすという生活サイクルだ。

そして、夜、リカさんは自宅近くで暮らす彼氏のマンションへ行き、そのまま彼氏と一緒に過ごす。そして朝は、彼のための朝食を作り、一緒に食べてから、歩いて数分の自分の家に戻り、子どもたちの様子を見て出勤する。

「朝はトーストとミルクかジュースだけの簡単な食事です。子どもでもできます。もう3年ほど前から、上の子が(家事を)やってくれているので心配ありません」

ガスを使わず、レンジだけで調理できるよう、前日の夜から、翌日の朝食を仕込んでおく作業も、いつしかリカさんから現在小6生の上の子の役割となった。

「子どもたちには、親を頼らないで生きていける術(すべ)を身につけてほしいです。どんな親でも子は育ちます。世の人たちは子どもに甘く、シングルマザーに厳しいですよね? でも、シングルマザーだって、母である前に、人であり、ひとりの女なのですから」