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認知症の「予防」で脳トレ…? じつは名医がオススメしたくない理由

認知症になっても人生は続きます
現在、認知症・軽度認知障害の人は1000万人、65歳以上では3割を超えるという。誰にとっても身近な話題のはずなのに、いまだに認知症に対する誤解は多い。たとえば予防。いまでも「認知症にならないための~」とか「認知症の進行を遅らせるための~」といった「予防法」と言われるものは数多い。しかし、こうした「予防法」は、薬を除くと「認知症予防」という観点からは意味がないと言い切るのが、最近話題書『認知症の人が「さっきも言ったでしょ」と言われて怒る理由 5000人を診てわかったほんとうの話』を刊行した木之下医師。その木之下医師が、アルツハイマーの当事者に「予防法」を迫られて答えた言葉とは?

「先生、アルツハイマーがこれ以上進まないようにしてほしいんだよ」

浩二さん(仮名・74歳)という、当院を受診されているアルツハイマー型認知症の人がいます。診察室に入るや否やまくし立てます。

「先生。俺さあ。アルツハイマーってわかったからさあ。だからこれ以上、もう進まないようにしてほしいんだよ。どうしたらいいの。教えてよっ」

 

私は圧倒されます。

「先生、この前さあ。テレビでさあ。〇〇オイルで認知症予防ができる、って言ってたよ。あれうそだろっ。そうじゃなくて、ちゃんとしたやつ、教えてよ」

私「んー……」

「なんか、ないのかよぉー。先生さあ。なんか、教えてよぉ」

私「んー……」

残念ながら、認知症にはちゃんと効く予防法がないのです。

浩二さんの勢いに押されて、私はか細い声で答えます。

「いやあ、ないね……」

「先生、そんな簡単に、ない、なんて言わないでよぉ。書き取りとかさあ、 ああいうの、ですよ」

 私「まあ、そう言われても、ねぇ。あっ、計算とか漢字とか好きなんですか?」

「そんなもん、嫌いに決まってんじゃんか。でもやりゃあ、よくなるっちゅうならやるよ。可能性すらないの?」

私はどうすればいいのでしょうか?