もうひとつ例を挙げよう。『愛の不時着』でヒロインを演じたソン・イェジンが主演する『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』。こちらは2018年に「最も話題になった韓国ドラマ」の1位となった。

主人公はコーヒーチェーンの本社で働く30代半ばの女性で、彼女と年下男性の恋愛が表のメインストーリーだ。一方で、隠されたメインストーリーは女性に対する暴力やMeToo運動、そしてヒロインの母に代表される旧世代の差別的な価値観である。

女性の地位が低い職場で繰り返されるセクハラ。勇気を出して告発した主人公を逆に陥れようとする男性管理職や経営陣。女性従業員も一枚岩ではない。心暖まるラブストーリーと職場のハラスメントという、日本でも身近な社会問題が見事に融合している。

2作品に共通するのは、メインテーマは多くの人が楽しめるミステリーやラブストーリーといった王道のエンタメでありながら、自然な形で社会課題が織り込まれている点だ。