視聴者が見せた対照的な反応

Netflixで配信中の韓国ドラマ『愛の不時着』のロングヒットが続き、日本公開から半年以上経った現在(9月2日)も1位を維持している。

公開当初、『愛の不時着』を強く支持したのは韓国ドラマ初心者が多かった。私自身、韓国ドラマを見るのは同作が2作目で、ふだんはラブストーリーを見ない。しかし、同作にはジェンダー視点からも斬新さを感じた。感想をFacebookに書き込むと、「私も見ました」「泣いた!」という反応が増えていった。「韓国ドラマはこれが初めて」とか「冬のソナタ以来、久しぶり」いう人が多かったと記憶している。

その流れで、今年3月、FRaU WEBに『愛の不時着』の推しポイントは「ケアするヒーロー像」と「勇敢なヒロイン像」だとする記事(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71290)を書いた。

北朝鮮の軍人であるリ・ジョンヒョクは、パラグライダーで不時着した上場企業経営者であるユン・セリを徹底的に「ケア」した。彼女のために料理を作り、自分で焙煎した豆でコーヒーを淹れ、二日酔いになったら豆もやしのスープだって作り、「王子様」のように彼女を悪者から守り「お母さん」のように無償の愛情を注いだ。セリもまたお嬢様育ちながら、自分の身の危険を顧みず相手の生命を守ろうとする。従来のジェンダー規範を打ち破る人物像に革新性を感じた、という内容だ。

この記事は、ドラマを見た多くの人に共感してもらった。一方でこんな反応もあった。「愛の不時着は良いドラマだけれど、そんなに新しいとは思えない」とか「不時着をジェンダー視点で見る発想はなかった」という意見で、多くは韓国ドラマを見慣れている人たちからだった。