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批判殺到の「GoToトラベル」キャンペーン、どう進めれば成功したのか?

制度設計上の「3つの問題点」

GoToトラベルキャンペーン開始から1ヶ月が過ぎた。8/20までの延べ利用者数が4.2百万人と発表されたが、昨年7-8月の国内宿泊旅行者数は延べ95百万人であることに照らすと、効果が十分とは言えない。

本キャンペーンは開始当初から、巨額な事務委託費用、実施時期、拙速な事業開始による事務フローの混乱などで批判に晒されてきたが、それらの問題点に隠れて見過ごされてきた制度設計上の問題点も看過できない。

20年間、外資系不動産会社でホテル投資や開発のアドバイザーを務めてきた、立教大学大学院特任教授・沢柳知彦氏が今回のキャンペーンの狙い、制度設計上の課題を整理した上で、ウィズコロナ環境において観光振興政策をどう進めていくべきか提言する。

GoToトラベルキャンペーン、本来の狙い

本来、このキャンペーンの政策目標は以下の通りであったと考えられる。

1.(主に中小の)宿泊事業者への資金繰支援対策
2. 長引く自粛生活でレジャー旅行再開のタイミングがつかみにくい家計部門における旅行需要の掘り起こし
3. 補助金を使って家計部門に眠るキャッシュを引き出して経済効果を高める、いわゆるレバレッジ効果と周辺事業への波及効果を通じた経済活動の活性化

また、政策実施にあたり、以下の制約条件も念頭にあったと考えられる。

1. コロナ禍が沈静化していないため、感染防止拡大にも努めなければならない。
2. 可能な限り、旅行需要が多い夏休みに実施したい。
3. 税金を投入する以上、不正利用を防ぐことが重要課題であり、本人確認・利用確認を厳密に行わなければならない。
 

制度設計上の3つの課題

では、今回のキャンペーンは、政策目標を達成するように設計されていたのかというと、疑問が残る。理由は以下のとおり。

1. 中小事業者置き去りの事務手続き

補助金の不正利用を防ぐため、宿泊事業者は原則として情報登録と給付枠申請が求められ、さらに宿泊記録確認のための第三者機関制度が設けられた。ただし、旅行代理店経由の予約であればこうした手続きは不要となる、という建て付けだ。

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