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# 怪談

なぜ女生徒36人は突然、海で溺れ死んだのか…「橋北中学校水難事故」の真実

本当にあった怪奇事件簿④

頭巾にもんぺ姿の亡霊が現れ…

昭和30年(1955年)7月28日、三重県津市でのこと。橋北中学校の生徒たちが安濃川河口近くの海(通称中河原海岸)で水泳訓練をしていたところ、女生徒たちが一斉に溺れ始めた。救助活動が行われたが、多くの女生徒が犠牲になった。

この水難事故から生き残った一人が言うには、「あの日、溺れ、海中でもがきながら、もんぺを履き、頭巾をぐっしょりと濡らした女性たちがたくさんおり、こっちへおいでと招いていた光景を見た」という。

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実はこの事件のちょうど10年前、昭和20年7月28日、津市は五度目の空襲を受け、市街地のほとんどが壊滅した。その時、逃げ場を失った人々が津警察署の地下室に逃げ込んだが、この人々も蒸し焼きにされて死んでしまった。

そして犠牲になった人々は安濃川の河口付近に葬られた。そのため、あの海に現れた亡霊は空襲の犠牲になった人々だったのではないかと言われている。

松谷みよ子著『現代民話考5 死の知らせ・あの世へ行った話』に掲載されたこの話は、「橋北中学校水難事件」や「中河原海岸水難事故」と呼ばれる水難事故に纏わる怪談としてよく知られている。この他にも女生徒たちは頭巾にもんぺ姿の亡霊に足を掴まれ、溺れさせられた、という話もよく聞かれる。

水木しげる氏は『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』等の著作においてこの亡霊たちを「集団亡霊」と名付け、頭巾を被った亡霊たちが海で女生徒を襲う様子を描いている。

ではこの事件は実際にはどのようなものだったのだろう。この亡霊事件の真相を追求した後藤宏行著『死の海』を参考に、それを追ってみたい。