2018年10月に、築地から移転した東京都中央卸売市場の中核、豊洲市場。日本一の魚市場を擁し「日本の台所」とも言われるが、新型コロナウイルスの感染拡大により、巷間の飲食店、ホテル・旅館などが営業自粛、時短を行ったため、業務用の商品が動かず苦戦を強いられている。
4月、5月の緊急事態宣言中は売上が9割近く、それ以上に激減した仲卸も少なくない。特に水産仲卸では十数社が休業に追い込まれ、破綻した食材卸業者も出た。
また、豊洲市場内の飲食店は、海外からの観光客の受け入れが禁じられたため、インバウンドの顧客が姿を消した。そのうえ、豊洲市場が約3ヵ月の一般見学者入場禁止の措置を取ったので、その期間中休業する店も多かった。
5月末の緊急事態解除で一息ついたのも束の間、7月になって第2波が到来。感染が再拡大する状況下、豊洲の仲卸からはネット通販や車を使って集合住宅の前で販売するなど、直接消費者を売り先として開拓する動きが出ている。
「新しい生活様式」の下で、変貌する豊洲市場をレポートした。
豊洲市場の新型コロナの影響だが、東京都の調べによれば今年1月から6月の取扱量と取扱金額の推移は、前年同月比で、次のとおりである。