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大坂なおみも注目…「日本国籍を剥奪された人たち」の裁判の行方

二重国籍はなぜ認められないのか

テニスの大坂なおみが、米国の黒人男性が警官に背後から銃撃された事件に抗議し、全米オープン前哨戦の準決勝を棄権したことが大きな話題になった。大会側の対応により棄権は翻意したが、大坂は「私はアスリートである前に、1人の黒人の女性」であり、相次ぐ警官による黒人への「虐殺」に「腹の底から怒りがわく」とツイッターに書いた。

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ハイチ系米国人の父と日本人の母の間に生まれた大坂は、日米二つ(正確にはハイチを含め三つとみられる)の国籍を持っている。大坂は日本で生まれたが、3歳のときに家族とともに米国に移住。日本語をほとんど話せない。全米オープン優勝後の日本での会見で、大坂は、自らのアイデンティティーについて聞かれ、困惑しつつも「私は私であると思っている」と答えた。

日米どちらの代表として東京オリンピックに出場するかが注目された昨年10月、大阪は日本代表としてオリンピックに出場することを表明。また自らが持つ日米二つの国籍のうち、日本国籍を選択することを明らかにした。国籍選択をしたのは、日本政府が二重国籍を認めていないためだ。

日本の国籍選択届の用紙には「国籍選択宣言」という項目があり、そこには「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄します」と記されている。つまり日本国籍の選択は、外国の国籍を放棄する意思表示でもある。ただし後述するが、大坂はいまも米国籍を放棄していないとみられる。

世界では、米英仏伊のように二重国籍を認める国が主流だ。15年時点で132カ国が二重国籍を容認。18年のオランダのマースリヒト大の調査によると、外国籍取得時に自動的に自国籍を奪わない制度の国が、国連加盟国の75パーセントに上った。日本は世界の少数派なのだ。

外国籍取得により日本政府が日本国籍を剥奪する根拠になっているのは「国籍法11条1項」。作られたのは明治時代だ。そこには次のように書かれている。「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」

ノーベル賞を受賞した中村修二氏と南部陽一郎氏(米国籍)、英国籍のカズオ・イシグロ氏は、この規定のせいで日本国籍を失った。