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# 新型コロナウイルス

新型コロナ「拡散防止」と「経済活動」のバランスは、こう取ればよい

「集団免疫戦略」を行った国々は…

放任政策を取った国々の末路

いったん収束したかに見えた新型コロナの感染者数が、ふたたび増加し始めた。

PCR検査数の増加が幾分か貢献しているのは事実だろうが、第一波の過ぎ去った6月中旬と現在のPCR検査水準を比べても、検査数は若干の増加であり、陽性率は上昇しているので、市中に感染が広がっているのはいうまでもない。

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第二波の大きさは、第一波を大きく超える可能性もある。

国民の生活や企業の今後を考えれば、コロナ拡散防止と経済活動の両立が必要不可欠なのだが、かといって、コロナ対策をないがしろにして経済活動を優先すると、悲惨なことになる。

その典型例が、「集団免疫戦略」という放任政策をとったスウェーデンとイギリスだ。両国とも今でこそ落ちつきを見せているが、3ヵ月前は感染者数が激増し、酷い有り様だった。

両国ともに経済を優先した結果の惨事だったが、その肝心の経済も冴えない。2020年のGDP成長率の見通しは、スウェーデンは▲4%程度、イギリスは▲14%程度と発表している。多少無理をして経済活動を優先したところで、コロナショックという世界的な大変動には焼け石に水ということだろう。

 

この集団免疫戦略について、「経済を動かせ」と裏から強力に働きかけていたのが、財政出動を嫌うイギリス財政当局であったといわれている。

経済優先の裏には、そうなれば「財政支出が少なくて済む」という、財政緊縮志向の魂胆があったようだ。

そうした他国の状況を鑑みたとき、筆者としては、まず大切なのは「コロナ拡散防止」であり、それが済んでから腰を据えて経済回復に取り組むべきだと考える。

とはいえ、過剰な自粛で経済が完全に死んでしまうのは困る。よって、当面は休業補償で最低限の経済活動を下支えしながらしのぎ、その間にコロナをある程度押さえ込んだ上で、本格的な経済活動を復活させるのが一番良い選択だろう。

言い換えれば、十分な休業補償をできるだけの大胆な財政支出なくして、経済の立て直しは不可能ということだ。

 

財政緊縮派は、「債務残高が増えると将来世代への負担が避けられない。ゆくゆくは国家の破綻につながる」と言って、「財政支出なしで経済を動かせ」と無茶なことを言う。

そういえば、6月以降に外国の格付け会社が相次いで日本国債の格付けを引き下げたときも、財政緊縮派は「財政支出で債務が増えたからだ」と騒ぎ立てた。これには、すっかり呆れてしまった。

そもそも、国債格付けなどというものはデタラメなのでまともに相手にする必要すらないのだが、国債の価値は、市場で取り引きされる国債の「保険料」でわかる。これを示すのが「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」のレートだ。日本国債のCDSレートは、格下げのあともほとんど変わっていないのだ。

しかも、そのレートから算出できる日本の破綻確率は、今後5年以内でわずか1%程度に過ぎない。これは、先進国の中でトップクラスの安全性であり、破綻リスクは限りなくゼロに近い。破綻論者の理屈がいかに根拠なきものか、お分かりいただけるだろう。

『週刊現代』2020年8月22・29日号より

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