本来はリスクオフ時に活躍する代表選手の自己資本比率が好まれる状況を踏まえると、実は2013年以降の「アベノミクス」は、官製マネーが株価を物理的に押し上げただけで、そもそも好況でも何でもなかったのかもしれない。
加えて、この自己資本比率をバブル化させた背景は、それだけではない。ここで、新たに見るべき指標として「予想自己資本成長率」がある。
一般に、自己資本が成長するには、前期の利益の搾りカスである内部留保(配当後純利益)が利益剰余金に組み込まれる必要がある。この予想内部留保は、単純に純利益から配当総額を差し引くか、純利益額に配当性向の残り(内部留保率)を掛け算すれば誰でも容易に算出可能だ。
そして、この予想自己資本成長率の高低に基づいて、自己資本比率の際と同様の方法で計測したパフォーマンスと、日本の過剰流動性指標(M2÷名目GDP)の推移を併載したものが以下の図だ。
リーマンショックの混乱後あたりから空気が変わり、明確なトレンドを持って右肩上がりにパフォーマンスが推移するようになる。そして、それと同期しながら、日本の過剰流動性も拡大ペースが加速する。これは何を意味するのか。