東大生が語る、ちょっとディープな美しすぎる数式の話

eをiπ回かける…ってどんな意味?
東京大学CAST プロフィール

三角関数の厳密な定義とは

では、三角関数は大学数学においてどのように定義されるのでしょうか。高校数学で出てきた「円弧の長さ」を厳密に積分で定義することで三角関数を導出することもできます。

しかし多くの場合、三角関数と指数関数のつながりが見えるように、また違った視点から両者は定義されます。

 

そのやり方が無限級数で表すという方法です。無限級数というのは数を無限個足していくというもので、無限個足してある値に収束する(近づいていく)ときが重要です。例えば、

1 + 1/2 + 1/4 + 1/8 + … + 1/2^n + … = 2

といったようにです。このとき無限に足していったものがある値に本当に収束するのかという問題が重要になっていきますが、ここでは深くお話ししません。無限級数の長所は虚数の和についても考えられることです。

これによってe^iπが次のように意味をもった形で定義されます。

e^iπ = 1 + iπ + (iπ)^2 /2 + (iπ)^3 /6 + … = Σ(iπ)^n /n!

そしてこの級数の収束値が実は-1となり、オイラーの等式e^iπ + 1 = 0が得られるのです!さらにこの等式の面白いところは、cosπ=-1、sinπ=0に注目すると、e^iπ=cosπ+i sinπと表すことができます。先ほど指数関数と三角関数には深い関係があると言いましたが、なんとこの等式は角度がπだけでなく、どんな角度でも成り立ちます。それを表したのが以下のオイラーの公式です。

e^iθ = cosθ + i sinθ

以上のように三角関数の定義を振り返ることで新しい定義が生まれ、しかもそこには実数にとどまらない複素数(虚数を含む数)から見た三角関数の世界が広がり、最終的に指数関数と結びつきました。

数学の定義そのものを深く考えてゆくことでより豊かな統合された世界が見えていくのはとても興味深いことに思えませんか。数学って奥深いですね。

「現役東大生のサイエンス入門」バックナンバーはこちら