地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
2012年の今日、約500年前のイングランド王・リチャード3世(Richard III、1452-1485)の遺骨がイングランド中部の都市・レスターの駐車場の地下から発見されました。
同定の決め手となったのは、DNA鑑定でした。
リチャード3世は、ランカスター家との内乱に明け暮れた王朝・ヨーク朝最後の王で、シェイクスピアの作品では背骨が曲がった悪辣な王として描かれています。2012年、内乱で敗死してからおよそ500年ぶりに、彼の遺骨は日の目を見ることになりました。
発見場所は、これまでリチャード3世の埋葬場所として伝わってきた地点と近く、さらに遺骨には剣の傷跡が多く残っており、激しい争いの末に命を落とした彼のものではないかと推定されました。本人のものであると確定できたのはDNA鑑定のおかげでした。
当初、リチャード3世は子をなすことなく亡くなってしまったため、DNA鑑定をすることはできないかと思われていました。しかし、解析チームは発想を変えて、母親から娘へと受け継がれる「ミトコンドリアDNA」に注目し、遺骨が本人のものだと鑑定することに成功したのです。