コロナ後に銀行が生き残るには 「金行」に生まれ変わるしかない

未来の銀行はどうあるべきか・後篇
津田 倫男 プロフィール

ところで貸金業者以外にも銀行や信金には活路はある。それが投資銀行=インベストメントバンクだ。商業銀行と同じく銀行と名乗っているが、実態は富裕個人や大手企業向けの証券業務を行う組織である。

英国ではマーチャントバンクと呼ばれるが、本家には最早こう呼ぶに値するところはほぼ皆無となっている(僅かにロスチャイルドなどがそれに該当)。

 

ただ、投資銀行の世界は生き馬の目を抜く修羅場だ。これに耐えられる銀行はメガバンクを含めて多くない。

私は、この業務はそもそも清廉潔白、正直利他を旨とする日本人には向かないと思っている。地道に汗水足らして、融資とそれを補完する多様なサービス業で零細個人や中小企業を支援するのにもともと適性があるのだから、儲からなくても長期持続するビジネスを「金行」は行えるはずだ。

非上場化してMBOも視野に

最後に一言。儲けないと株主が煩いというなら非上場化すればよい。

東証の基準が厳しくなることを見越して多くの上場企業が非上場の道を歩み始めている。上場企業=一流、非上場=二流という時代はもう過ぎ去った。米欧でも世界的非上場企業は多い。そもそも日本での企業の存在理由は「社員」と「顧客」のためにある。米英式の株主偏重の経営はそろそろ終わりにしてもよいだろう。

上場企業が一流という時代はもう終わった(photo by iStock)

ピーター・ドラッカーが企業は顧客のためにある旨の著作を世に出し日本人を驚かすまで、日本では会社は「社員のもの」という意識が濃厚にあったのだから。こうした先祖がえりは悪いことではない。世界の潮流も「社員第一」(顧客は第二、社会が第三、四五がなくて六が株主)になっているのも追い風だ。

ドラマ(あるいは小説)『半沢直樹』が今後も続くとすれば、次は銀行自身のMBO(*)がテーマになるかも知れない。

本来のMBOはスリムな経営を志向するものだが、日本では正しい(つまり本来の趣旨である、四半期毎の超短期的評価を逃れ、長期的な視野に立って経営を行う)MBOが殆ど行われてこなかったので、改めて拙著『企業再編のためのMBO・MBI実践ガイド』(中央経済社)などを参照されるのも良いかも知れない。

MBOは正しい理念で(つまり社員、顧客、社会を重視して)、経済的効率性を追及する(リストラは最小限に、経営陣も身を切る)、事業分割や再編の効果的手段なのだ。

買収などで肥大化した組織をスリムにするために幾つかの企業が事業・部門売却を行おうとしているが、その売却先が部門を運営する子会社やユニットの経営者であってもよいはずである。

カネが足りない部分はファンドに援助を仰ぐとして経営は彼らに任せてはいけない。事業や社員に愛着を持っている人に叶う経営者などいないのだから。

(*)経営陣による会社買取りと訳されるが、投資ファンドと経営者の一部による儲けの一手段としての非上場化、というのが実態