コロナ後に銀行が生き残るには 「金行」に生まれ変わるしかない

未来の銀行はどうあるべきか・後篇
津田 倫男 プロフィール

「金行」への移管で進む金融再編

ここで、「金行」の定義づけを行う。

第一に、零細個人や中小企業に積極的に融資を行うこと。概ね融資残高の5割以上はこうした個人とスモールビジネスに当てる。それができない、或いはいやだという金融機関は次に述べる新たな形態に移ればよい。

 

第二は、預金量と営業地域だ。金行には最低4兆円の預金を求める。それができないところは信組(信用組合)になるか廃業を選択することになる。金行の営業地域は日本全国(海外も可)とし、従来営業地域を厳しく制限されてきた信用金庫(信金)と信組に新たなチャンスを与える。

4兆円の預金を集められなければ、「金行」の資格はない(photo by iStcok)

4兆円が達成できない場合、猶予期間を設けるが、概ね3年以内に彼らは意思決定を迫られる。信組への転換、廃業か他の金融機関との合併である。

これにより地域金融機関の再編は一挙に進む。地域密着には規模は小さいほうがよいという屁理屈は最早、通用しない。そもそも規模と密着は相反するものではない。知恵が足りないからそう見えるだけだ。

金行にはこうして従来の銀行、信金、そして一部の信組がなる。そして金行になれなかった、もしくはなる意志のないところは金融機関として留まるなら信組に、それを由としない場合には貸金業者(サラ金やリース会社など)に衣替えする。

この選択肢は必ずしも悪いものではない。世には既に預金は集められないが、貸金業者として真っ当にビジネスを行い、成功しているところもある。彼らの中で預金を4兆円以上集め、5割以上を零細個人や中小企業に向ける意志のあるところは金行になれる。

第三は経営の透明化。より具体的にはトップの選出や幹部の選抜の「見える化」である。銀行もさることながら信金、信組にこの点では大いに難がある。トップがどうやって選ばれたのか、そして何年も何十年も居座っていられるのはなぜか、真っ当な説明ができない信金や信組が多すぎる。

第四は金融庁や日銀による検査や外部監査の結果の完全公表だ。これができない、あるいはそれをためらう金融機関に金行になる資格はない。現在、銀行は金融庁が直接、信金信組は地方財務局が検査を代行しているが、金行の検査は全て金融庁が行う。

他にもまだあるが、骨子は以上だ。

この結果、全国で100を超える地銀(地方銀行。いわゆる第一地銀と第二地銀の両方を指す)、250ほどの信金、150あまりの信金が3分の1や5分の1に集約されるだろう。

そして、経営が不透明でありながら有限責任という、いいとこどりの「信金」という形態はなくす。地域金融機関と呼ばれる地銀、信金、信組が「金行」と信組の2本立てになるのだ。

信組には営業地域の規制は残す。無限責任で狭い地域で自由なビジネスを行うか、金行として本店所在の狭い地域だけでなく、日本(そして世界)全体の利益を考えて融資を行うか、旗幟を鮮明にするのだ。