「H&M」の日本での大成功を導いた、「先進的」な経営方針

H&Mジャパン社長にインタビュー
夏目 幸明 プロフィール

現場の方も、上から落ちてきた仕事を義務と捉え「やらなければいけない」と感じて働くより、それぞれがオーナーシップを持ってアイデアを出しあい、場面や地域に応じて最適な案が採用され、実行される方が確実によい結果を招くはずです。

当社は男女の平等も強く意識しており、私が来日した時、女性のストアマネージャーは6~7%でしたが、現在は約30%で、数年のうちに50%まで引き上げたいと思っています。

残業も減らすだけでなく将来的には「なくそう」と考えています。各自が家族との時間、自分を高める時間を持てたほうがよりよい結果に繋がるはずです。

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大切にしている言葉は、創業者であるアーリン・パーションが度々口にしていた「失敗は学びに繋がる」ということです。当然かもしれませんが、これを組織全体で実行するのがなかなか難しいのです。

あとは「Challenge yourself」。自分を超えよ、といった意味ですが「野心的な挑戦を怖れず、居心地がよい場所に留まるのをやめよう」という意味も持っています。

Task is not fun!(義務って楽しくない!)。何かを求めて生きる人だけが、貴重な学びを得ると思うのです。

最後に私がお伝えしたいのは、当社がサステナビリティに対し積極的な取り組みを行っていることです。

当社はオーガニックコットンの世界最大のユーザーで、2030年までには全ての素材を持続可能な方法で調達されたものへ切り替え、40年には環境に負荷を与えず、逆に環境によい影響を与える企業へと変貌を遂げることを目指しています。

 

私は日本の文化や歴史に敬意を持っていますが「企業や個人が国家の指示を待っているのかな」と感じる部分があります。

男女平等も環境問題も、実は企業や個人が実現していくもの。H&Mはこれらに積極的に取り組むことによって、皆さんに必要とされ、選ばれる企業でありたいと思っています。(取材・文/夏目幸明)

ルーカス・セイファート
'74年、スウェーデン生まれ。少年期を香港、アメリカ、フランスで過ごし、パリのアメリカ大学を卒業後、'96年にH&Mへ入社。北欧諸国とフランスで勤務し、'09年にH&Mノルウェーで代表取締役社長を務める。その後、'17年にH&Mジャパンの代表取締役社長兼日本・韓国統括責任者に就任、以来現職

『週刊現代』2020年8月22・29日合併号より