ポストコロナの世界では、グローバル目標であるSDGsへの影響が気になるところ。2019年より、日本のみならず世界に向けてSDGsの取り組みを応援しているハローキティ。国連との協働で活動の場を世界に広げ、SDGsを推進するハローキティが、国連広報センター所長の根本かおるさんに話を伺いました。

Hello Kitty ハローキティ
世界中の人たちが平和で仲良くできることを願い、2018年9月より自身のYouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL(ハローキティチャンネル)」を通じて、日本でSDGsを応援するプロジェクトをスタート。その実績が認められ、正式に国連との協働を発表し、現在は国連機関のサポートのもと、グローバルに活動を展開している。2019年9月には、ニューヨークの国連本部で17の目標のうち6つ、3「すべての人に健康と福祉を」、4「質の高い教育をみんなに」、5「ジェンダー平等を実現しよう」、11「住み続けられるまちづくりを」、13「気候変動に具体的な対策を」、14「海の豊かさを守ろう」についての動画をグローバル・ビデオ・シリーズ“#HelloGlobal Goals”として紹介している。プライベートでは、パパ、ママ、双子の妹のミミィの4人家族。11月1日生まれ。血液型はA型。好きな食べ物はママの作ったアップルパイ。

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お話を伺ったのは……
根本かおるさん
兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。テレビ局のアナウンサー、報道記者を経て、米国コロンビア大学大学院で国際関係論修士号を取得。1996年から2011年末まで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にて、アジア、アフリカなどで難民支援活動に従事。ジュネーブ本部での政策立案なども手がけ、国連世界食糧計画(WFP)の広報官や国連UNHCR協会事務局長を歴任する。その後、フリージャーナリストを経て2013年8月より国連広報センター所長。

Q1.今回の新型コロナウイルス感染症によって世界は変わりましたが、どんな影響があったか教えてください。

世界各国でさまざまな影響がありましたが、中でも貧困削減の達成度は10年後戻りしたと言われるくらい非常に大きな打撃を受けました。顕著なのは弱者にしわ寄せがいってしまったこと。例えばアメリカのニューヨーク市でいうと、黒人やヒスパニック系の有色人種の感染率が著しく高く出ています。これらのグループは職種の傾向で見ると在宅勤務ができないサービス産業やブルーカラーの労働者の割合が高い。家にいなければならないが手狭で家族や同居人と物理的距離が取れない、医療機関のアクセスがないなど、いろいろなことが影響していますが、それはやはり低所得者層や貧困層に偏っています。

また、医療従事者や福祉関係者の約7割が女性と言われています。看護師や医療ワーカーに女性が多く、どうしても患者に接する機会が多くて、感染のリスクが高くなる。それから、子どもたちの休校措置や、在宅勤務になることで必然的に家事労働が多くなります。その負担が家庭では女性に重くのしかかります。残念ながら今回の外出規制でドメスティックバイオレンスの割合も増加してしまいました。女性だけでなくLGBTQ、貧困層や難民などの社会のセーフティネットからこぼれ落ちがちな人などに負荷がかかってしまった

企業を見ても、大企業より中小企業のほうが影響が出ていますし、国別で見ても先進国よりも、債務危機にあったり、紛争があったり、医療システムが脆弱な中進国あるいは途上国に大きく影響が出ました。いろいろな意味で弱いところに歪みが出てしまったというのが現状です。

Q2.世界各国と比べると、日本はどんなところに影響が大きく出たと思われますか?

日本についていうと、国民皆保険の存在が大きいですね。例えばアメリカでは保険制度がそこまで行き渡っておらず、特に貧困層に未加入者が多い。医者にかかりたくてもかかれない状況を生んでしまっています。日本ではほとんどの人が保険に入っているので、あまり意識されていないかもしれませんが、コロナを機に、あらゆる国で医療体制を見直し、医療体制の整っていない国のために他国が協力をしあうべきであり、それはSDGsでいうとゴール3の「すべての人に健康と福祉を」の、ターゲット3・8「ユニバーサル ・ヘルス ・カバレッジ(UHC)を達成する」の推進にもつながります。UHCがSDGsに盛り込まれた背景には日本が推奨したということも大きいのです。今後も医療危機や医療保険の危機に対して、グローバル・ヘルスの分野での日本のリーダーシップは期待したいところです。

一方で、今回、世界でおよそ16億人の学生たちが学校に通えなくなりましたが、日本ではオンライン学習が非常に遅れていることが露呈しました。オンライン学習を進めると言ったまま、ずっと手を打たず、後回しにしてきたつけが回ってきてしまった。かといって自宅学習で保護者がつきっきりで勉強の相手をしてあげることもできません。また、大学生の5人に一人が家庭や自分の財政状況から学校をやめることを考えているという調査結果も出ていました。今回のコロナショックを吸収できる余裕のある人たちは、日本でも思いのほか少ないということを表しています。