情報戦って生易しい世界ではないですよ
言わずもがな、ファイブアイズ各国はすべて英語圏の民主主義国であり、国家が国民を監視することなど許されない前提に立ちつつ、しかし相互の政府が上手く連携を取り合いながら相手国の国民の動向を探ることを是とするのもまた事実であって、だからこそアメリカの情報部門であるNSCが日本やドイツ他同盟各国の情報すら無断で収集していて外交問題に発展していたことがスノーデンさんによって暴露されたのは記憶に新しいところです。
しかしながら、その問題が露顕してドイツ首相・メルケルさんが怒っていた割にすんなり話が終わるなと思っていたら、今度はスイスの情報機器(暗号機)メーカーがアメリカのCIAとドイツの連邦情報局(BND)によって運営され、各国の情報を蒐集した挙句、売上についてはアメリカとドイツで山分けをしていたという事実まで露顕するという素敵な「事件」が明らかになっていました。(”CIA controlled global encryption company for decades, says report” The Guardian 、” Swiss investigate report that firm helped CIA break codes” Reuters 、” Swiss probing alleged CIA, German front company linked to breaking nations' codes for decades” The Japan Times)
つまりは、情報部門で各国連携を取ると言っても、蓋を開けてみれば人狼のような側面があります。当たり前のことですが、誰が善良な村人なのか悪質な狼なのかは、捕まえてぶん殴ってみてからでないと分からない、という残念な現実もあります。
先般アメリカ・ヒューストンやサンフランシスコで問題になった中国総領事館のスパイ事案のようなもので中国人教授や研究者が逮捕されたりしていました。これはこれで、まあ大変なことです。
しかしながら、そのレベルのスパイならば日本国内にも分かっているだけで数十人は存在し、具体的な嫌疑がかかる教授やジャーナリスト、研究者はたくさんいます。日本はこんな連中さっさと逮捕しろと海外からは言われてもおかしくない状況にあります。
そういうものも野放しになっているのはひとえに日本には情報保全やスパイ摘発を行うための法律もなく、その専門の部門も少ない人員で回しているからに他なりません。
知っていても正面からはなかなか手出しができないので、問題のありそうな人たちについてはいつの間にかスーパー銭湯のロッカーに他人の腕時計が混ざっていたり、学内で突然アカハラ・セクハラの疑いがかけられて放逐されたりすることがあるのかもしれません。