病名告知から半年で天に召された弟

私がALSの診断がおりるまでの経過を思い出すにつれ、確信するのは「やはり医師ってすごいな」ということです。

2015年の9月の終わりに弟からいきなりの連絡がきて、彼が「スキルス性胃がん」に罹患していることを聞き、独身だった彼の家族として闘病につきあう事になりました。自宅と弟の住む愛知を行き来して何度も治療法について話し合い、治療の同意書にハンコを押して、亡くなる最後の2週間くらいは愛知から仕事に通う状態でした。

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ではここでなぜ医師がすごいと思うのか。それは、弟はスキルス性胃がんの診断の後、ほとんど医師の言う悪いケースの進行になっていったからなのです。確かに病気を治すことに関しては「がん」もALSを含めた「難病」もまだまだなのかもしれません。しかし「がん」や「難病」を発見したり、個人差はあるとしても、どのような病状進行になっていくのかについては統計的に医師が本当に詳しいという事実を改めて感じたのです。

弟の治療中、よく弟の主治医と話をしました。体力のあった弟は2回抗がん剤でのアタックをしましたが、3回目は体力低下でやむなく中止となりました。6ヵ月の間に弟もやれるだけの事はやったと思いますし、そのあとの事を考える直前で天に召されたのは私にとっても残念な事でした。最後、主治医も悔しそうに天を見上げていたのは記憶の中に残っています。

亡くなった後も何度か夢に出てきてくれて、銀行カードの暗証番号などを教えてくれました。まだまだ現役で亡くなったので、やらなければならないことがあったはずですが「兄貴、任せたよ!」と彼の屈託のない顔が見えて声が聞こえた気がしました。「なんだよ~っ、もう少しいてもいいのに」とも思ったのですが、あちらにはあちらのしきたりがきっとあるのでしょう、残された私がやれることをしっかりとやっていこうと思いました。

弟を看取ったことで「大病を患う」という事がどういうことかを体感することが出来たのです。