ニャンちゅうなどの声で人気の声優・津久井教生さん連載「ALSと生きる」。毎月第1・第3土曜日に公開していますが、今回はスピンオフとして、津久井さんのお母様の命日である9月1日にお届けします。津久井さんは2019年9月に難病ALSだと認定され、現在は要介護4の状態です。今までの連載でも、それでも前向きに治療を考え、仕事に励む姿に「強い」「前向き」「すごい」と多くの賛辞が寄せられています。今回はそのようにいわれている要因について思うことを綴っていただきました。

相棒・ニャンちゅうと津久井さん 写真提供/津久井教生
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検査入院中に旅立った母の話

昨年、2019年9月1日に母が85歳で天に召されました。今年はそんな母親の初盆であるとともに、2016年4月5日にスキルス性胃がんで51歳の若さで天に召された弟の4回目のお盆でもありました。これまでの連載で多くの方から、「ALSに罹患したのに強い」とか「前向き」といわれていますが、この2人の家族の天への召され方が、私の病気に対する考え方の基盤の一つになっていると思われます。

津久井家は霊園にお墓があります。親父が宗派のないお墓を希望していて、ともすると「散骨」してくれても良いというような事を言いかねない人でした。実はよく分かります、親父に似ていると言われた私の考え方の根底はここにもある気がします。

母は2018年12月に誤嚥性肺炎で病院に搬送されて、呼吸器を装着して治療を行っていただき生還しました。実はそれ以前の2015年くらいから入退院を繰り返していて、それでも病院直結の老健に入所して穏やかに過ごしていました。老いていくという人間の生命の道筋をそのまま私に見せてくれていたような母でした。

病院に運ばれて、昏睡状態から目覚めることが数度あって「これじゃあ死ぬ死ぬ詐欺よね」という名言を残したお茶目な母でしたし、この詐欺ならば何度騙されても良いと思いました。

しかしながら、この肺炎から一気に体力が落ちてほとんど寝ている状態になっていきました。2019年の私の検査入院をもう少し早くしても良かったのですが、母の状態が落ち着いていなかったので8月まで引っ張っていました。

でもそんな母に私の体調不良のことを話すと「私にかまってないで自分の事をやりなさい」と気丈に私を病室から追い出したのです。