累計10万部を突破し、ますます好調なゴルフ界の最新大ベストセラー『世界標準のスイングが身につく科学的ゴルフ上達法』シリーズ。
「実践編」の刊行を記念した著者・板橋繁コーチへの連続インタビューも、いよいよ残り2回に。
第8回のテーマは、アマチュアが最も苦手とするバンカー攻略法。プロ顔負けのショットを体得するカギは、G1メソッドの代名詞「裏面ダウン」にあった!
秘技「裏面バンカー」の正体とは?
最先端のスイング理論に基づいた「世界標準のスイング」でスコアアップを目指せ!
(取材・文/水品 壽孝)
アマとプロ、最大の違い
足場を固めてクラブをスパッと振り抜くと、砂とともにボールがフワッと浮き上がり、グリーン上に落下。カップの近くでピタッと止まる──。
トーナメントでプロたちが次々と披露する、そんなバンカーショットに憧れるアマチュアゴルファーは少なくないだろう。
実際、プロとアマチュアのあいだで最も意識に差があるのは、バンカーではないだろうか。バンカーに苦手意識をもっているというプロの声は、あまり耳にしたことがない。
概してプロは、バンカーよりもラフにボールが入ることを嫌う。メジャー大会のように、グリーン周りのラフが深い状況では、「ラフに入れるぐらいならバンカーのほうがはるかにいい」と考え、コースマネジメントをする選手がほとんどだ。
8月20日から23日にかけて、スコットランドのロイヤルトルーンゴルフクラブでおこなわれた全英女子オープンでは、連覇を目指した渋野日向子が、名物のポットバンカーから脱出するのに3打を費やしたことが話題になった。
しかし、これは、技術的なミスによるものではなかった──。
トリプルボギーを叩いた理由
初日の4番、パー5。渋野は2打目をポットバンカーに打ち込んだ。
グリーンまで残り100ヤードちょっと。渋野は、残りの距離を考えて9番アイアンを選択し、ボールをクリーンにヒット。3オンを狙ったが、ボールはバンカーの壁に激突し、足元に戻ってきてしまった。
次に、52度のウェッジに持ち替えてボールをクリーンヒットしたが、これも壁に阻まれて脱出に失敗。最後は58度のウェッジでエクスプロージョンショットをおこない、5打目でようやく脱出したものの、このホールでは結局、6オン2パットの8打でトリプルボギーを叩いてしまった。
このとき、渋野がもし、最初から58度のウェッジでエクスプロ―ジョンショットを選択していれば、難なく一発でポットバンカーから脱出していただろう。「クリーンにボールをヒットしても、壁を越えられる」という判断が間違っていただけで、渋野は決して、バンカーショットを苦手にしているわけではないからだ。
一方、アマチュアゴルファーには、バンカーショットそのものを苦手にしている人が非常に多い。「バンカーから一発で脱出できない」「脱出できたとしてもカップに寄らない」。そんな悩みを口にするアマチュアをよく見かける。
プロとアマチュアのバンカーショットに対するその意識の違いは、どこから生まれてくるのか?
「ある誤解から生じている」と、板橋氏は指摘する。「ある誤解」とは、いったいなにか?