文在寅の大誤算…恐るべき「不動産高騰」に、有効な手が打てない

「奥の手」を使ってみたけれど
高安 雄一 プロフィール

不動産政策については文在寅大統領には気の毒な状況である。廬武鉉政権の任期の始めである2003年2月には政策金利が4.25%であったが、文在寅政権の任期の始めである2017年5月にはこれが1.25%にまで引き下げられていた。

そして新型コロナウィルス感染拡大による景気低迷に対処するため、今年5月以降は最低水準の0.5%にまで引き下げられた。これに伴って代表的な貸出金利である住宅担保貸出金利は、2003年2月の6.69%から2020年6月の2.49%に大きく低下している。このように金利が低下するとともに富裕層が投資用にマンションを購入する傾向が強まり、ソウル市を中心にマンション価格が高まってしまっている。

ソウルの高層マンション群〔PHOTO〕Gettyimages
 

文政権の「奥の手」

現在は景気が落ち込むなか、日本がバブル潰しを行った時のように金融を引き締めることは現実的ではない。そこで、文在寅政権は不動産価格抑制策として奥の手を出してきた。7月に公表された不動産価格抑制策には、「総合不動産税の引き上げ」が盛り込まれた。

これは不動産の保有コストを高めることで不動産需要を減らし、不動産価格を抑制しようという政策である。全体的に税率が引き上げられるが、3億ウォン(約2500万円)以下の住宅を保有する場合は0.5%から0.6%へ0.1%ポイントの引上げにとどまっている。

一方で、住宅を3つ以上(一部地域では住宅を2つ以上)保有する場合、その価値が94億ウォン(約8億円)を超えれば3.2%であった税率が6.0%に2.8%ポイントも引き上げられる。この政策により、不動産保有の負担が増すこととなるためマンション価格が下がる可能性が出てきている。