9月 2日 アイルランドの数学者ハミルトンが死去(1865年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1865年の今日、イギリスの数学者・物理学者のウィリアム・ハミルトン(William Rowan Hamilton、1805-1865)が亡くなりました。

ハミルトンの肖像 Photo by Getty Images
 

アイルランド・ダブリンに生まれたハミルトンは、幼いころから神童として将来を嘱望され、学者としてもそのマルチな才能を発揮しました。彼は22歳で天文台の職員に抜擢され、次いで母校トリニティ・カレッジの天文学教授となりました。

また、ハミルトンは物理学の分野において解析力学の一種を創始し、これはのちに「ハミルトン力学」と呼ばれるようになりました。これを生み出す過程で、彼はそれまでの幾何光学に数学的要素を持ち込み、新しい数学体系に仕上げました。

ハミルトンが発見した重要な概念のひとつに、複素数を拡張した「四元数」というものがあります。四元数は複素数を拡張させたような数で、複素数では虚数単位iの2乗が-1になりますが、四元数ではさらにjの2乗=-1、kの2乗=-1、そしてi×j×k=-1という基本公式によって数が表現されます。

四元数の魅力に取りつかれたハミルトンは、その研究に没頭しましたが、当時はその重要性を理解する人は少なく、晩年は酒におぼれ、孤独な最期だったと言われています。

その後、四元数のアイデアは、空間の回転を表現できるため電磁気学などで用いられましたが、ベクトル解析という新たな手法が登場すると、次第に使用されることはなくなりました。

しかし近年、コンピュータグラフィックスの分野において、3Dの物体を表現する際などに四元数が使われるようになり、再び注目を集めるようになっています。