(C)2020「青くて痛くて脆い」製作委員会

住野よるが「10代の心」に刺さるのは一体なぜか?

「見えている世界の違い」と叙述トリック

『君の膵臓をたべたい』(『キミスイ』)が大ヒットした住野よるの小説『青くて痛くて脆い』を原作とした実写映画が2020年8月28日に公開される。

住野よるの作品は『キミスイ』『青くて痛くて脆い』以外にも、幅広い年代の人たちから支持されているが、とくに中高生から絶大なる人気を集めていることが注目に値する。

ここではその理由を作品のテーマ性と、用いられている技法(小説上のテクニック)の関係から考えてみたい。

 

中高生からの人気の高さは完全に「別格」

中高生が実際に読んでいる本を調べる方法としては、全国学校図書館協議会と毎日新聞社が毎年発表している「学校読書調査」内の「5月1か月間に読んだ本」ランキングや、トーハンがやはり毎年発表している「「朝の読書」(学校)で読まれた本」がある。

これを見ていくと、いずれの調査でも2016年には『君の膵臓をたべたい』が中高生の読んだ本としてランクインしており(本の発売は2015年6月)、17年7月に実写映画が公開、18年9月にアニメ映画が公開されるなか、ランキング上位にこの作品が入り続けている。

もっとも、若者向けにつくられた映画やアニメの原作小説が朝読や学校読書調査で上位に入ることは珍しくない。

しかし大半の作品は、映像化の盛り上がりが収まると次の年にはランキングから消え、また新たな話題作にその座を明け渡す。

ところが住野よるの場合は、最新の19年調査分でもなお『キミスイ』人気が続いており、ばかりか映像化されていない『また、同じ夢を見ていた』『か「」く「」し「」ご「」と』『夜のばけもの』も上位に入っている。

「作家」として中高生から支持されているのだ。

この年代にとっての「人気作品」ではなく「人気作家」になるケースは非常に珍しい。住野のほかには山田悠介、有川浩、西尾維新と片手で数えられるほどしか作家買いされて広範な支持を集めている例は存在しない。なかでもここ4、5年は住野よるが頭ひとつ抜けてトップを張っていると言っていい状態だ。

では住野作品ではどんなことが描かれているのか?