国沢:そう考えると経済が成熟して、中間層が減少している日本国内で売れるクルマは、アメリカ向けより小さくて、ヨーロッパ向けに比べると低い速度域でも気持ちよく走れるクルマということでしょう。
それは東南アジアで売られているクルマに近づいていくと言い換えてもいい。でも、それはつまらないクルマになるとも限りません。
なぜなら、新興国市場はこれから最も成長が期待できる市場ですから、そこで競争に勝つためにはメーカーも魅力的なクルマを投入してくるはず。
日本でもそうした使い勝手のいいソコソコお洒落なクルマがリーズナブルな価格で買えるとすれば、決して悪いこととは言えないし、それが経済的に成熟した社会が暮らす国民ということでしょう。
取材・文/平原悟