カローラ「レビン」や「トレノ」などを挙げるまでもなく、日本には若者でも買える価格帯で充分走りが楽しめるクルマが存在した。
ところが今やシビックの「タイプR」ですら新車で450万円以上。この価格ではどう考えても20代、30代は手が出せない。実際、こうした日本メーカーのホットハッチを購入しているのは40代以上の中高年が中心というのは、どう考えても不自然だ。
こうしたミスマッチが起こる背景には「日本人の購買力の低下がある」と国沢氏はいう。
国沢:例えばヨーロッパ市場向けに日産が販売している「マイクラ」というクルマがあります。日本の「マーチ」がベースで、ヨーロッパ仕様車は、動力性能などが国内仕様とは異なるハイパワーで評価も高いのですが、価格は260万円程度。これでは日本では高くて、売れません。
同様に北米向けにも日本国内にはないような大きなサイズのクルマを多く送り出しています。トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」は国内で大人気です。北米ではよりボディサイズの大きい「シエナ」や、「レクサスLM」が販売されていますが、これらを日本で売らないのも、価格の問題です。
アメリカの売れ筋はピックアップトラックなどほぼ500万円以上ですが、それに比べて日本では180万円の軽自動車がボリュームゾーン。要するに魅力的なクルマを作っても日本のユーザーは買うことができない。だから、日本市場にワクワクするクルマが減ってしまったわけです。