アパレル業界、いよいよ「販売員」の「使い捨て」がヒドいことになってきた…!

販売員が生き残る方法も…ある
小島 健輔 プロフィール

「デジタルなパーソナルタレント」へ…!

「精算」業務はICタグを使ったセルフ精算、それに画像解析AIを加えた無人精算で作業量をゼロに近づけられるし、「マテハン」業務もICタグと画像解析AIによるフェイシング管理やEC倉庫からの宅配によるセミ・ショールーミングストア化で圧縮できる。

一方でC&C(クリック&コレクト)が加速すれば、EC商品の店渡しや店出荷など「マテハン」業務が増え、ますます「接客販売」の比率は落ちていく。

「接客販売」とて、ウイズ・コロナが避けられない中、パーソナルタッチの「おもてなし」は売り物にならず、濃厚接触回避の店内リモート接客やEC連携のバーチャル・フィッティングが広がって圧縮が進むし、「声掛け」のアプローチも遠からずAIによるリコメンドに代わっていくだろう。

デジタル時代の「パーソナルタレント化」が生き残る道 photo/iStock
 

となれば生産性が高まって販売員の給与水準も改善されそうだが、現実は販売員が削減されるだけで給与水準は上がらないだろう。販売員のスキルが高まって生産性が上がるわけでなく、システム化による店舗の省人化とECシフトで店舗と販売員の必要数が急ピッチで減少するからだ。

アパレル業界では『いつかは企画やプレスに』『いつかはバイヤーやMDに』と夢を掲げ、ロープレコンテストなどで無理やり販売員を盛り上げてきたが、「使い捨て」の現実は変わらないまま、コロナというカタルシスを迎えてしまった。

前世紀までの販売員は「マテハン」「レジ精算」「店番」「接客販売」だけでなく、顧客を見た「個店マーケティング」や在庫状況を見た「編集マーチャンダイジング」も担って、エリアマネージャーやDB(ディストリビューター;在庫運用職)、バイヤーやMDにキャリアアップできるスキルが磨けた。が、POS依存の本部集中が進んで店舗がオペレーション端末と化していくに連れて販売員の役割も限定され、使い捨ての枠を出られなくなった。

ならば、店舗がECと一体化し、ITや AIで無人運営に近づいていく今後、販売員の機能は一段と使い捨ての効くオペレーション端末とならざるを得ない。販売員の側も会社組織の中でキャリアアップするより、ITや AIに馴染んでデジタルスキルを磨き、組織を超えて活躍するパーソナルタレントを志向するべきだろう。

(株)小島ファッションマーケティング代表 小島健輔