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中国への配慮で広告撤退…創刊者逮捕と経営苦で「民主派新聞」は生き残れるか

課金型メディアに形を変えるタブロイド紙

黎智英氏逮捕と蘋果日報の行方

8月10日に香港国家安全維持法(国安法)違反で蘋果日報(アップルデイリー・りんご日報)の創刊者である黎智英(ジミー・ライ)氏が逮捕され、「メディアへの弾圧」として世界的に大きなニュースとなった。

その結果、蘋果日報は香港の民主派は多くの「応援」を受けたが、それは一時的なものであり、長期的に見ると紙の新聞としては厳しい経営環境に置かれている。

そのような中、蘋果日報がどのような生存戦略を取ってきたのか、またその取り組みが香港での抗議活動と民主派の動きとどのように関わりがあったのかを本記事では述べたい。

黎智英氏逮捕翌日の蘋果日報一面
 

紙の新聞としては「経営苦」

蘋果日報本社には200人の捜査員が香港警察から派遣され、蘋果日報の親会社壱伝媒(ネクスト・デジタル)のCEOに当たる張劍虹氏が詐欺罪、COOとCFOに当たる周達権(ロイストン・チョウ)氏、さらに黃偉強行政総監が逮捕された。

今回の蘋果日報への家宅捜索が「メディアへの弾圧」として見られる理由の一つは蘋果日報が民主派寄り・反中国共産党・反体制のメディアとして見られてきたからだ。

民主派メディアとして見られてきた蘋果日報は近年経営面でも苦しめられてきた。蘋果日報に広告を出す大企業は最近ではほとんどなく、他の新聞のように広告収入に頼ることができないからだ。

これは大企業が中央政府や香港政府との関係悪化をおそれたこと、さらに新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化により多くの企業が宣伝広告費を抑制したことが理由として考えられる。