# 飲食店

なぜ、私は「好立地のラーメン店」で1000万円の損失を出したのか

元レスラーの店主が当時を振り返る
松永 光弘 プロフィール

膨れ上がった損失、1600万円

ここまできたら、『ミスターデンジャー』を誰かに任せて、私たち夫婦でラーメン屋を立てなおすしかないのだが、それも不可能になった。

なぜならば、このタイミングで狂牛病ショックが襲ってきたからだ。

肝心の『ミスターデンジャー』の売り上げがガクンと下がってしまい、いつしかラーメン屋の資金を流用するような自転車操業になっていった。

狂牛病ショックの前にラーメン屋が軌道に乗っていれば……いや、商売に「たられば」なんてものはない。

気がついたらラーメン屋での損失は1600万円にも膨れ上がっていた。ステーキを焼いてコツコツ貯めてきたお金をすべて吐き出し、通帳の残高が0円になってしまったのが、まさにこのタイミングだった。

それでも意地で続けるという選択肢もあった。

ただ一度、冷静になって計算してみたら、単価の安いラーメンの売り上げで借金を返していくことを考えると、もしコンスタントに月に30万円の純利益が出せたとしても、トントンに持っていくまで最低でも5年はかかる。

 

とてもじゃないけど、それは無理だ。

幸いにも「ラーメン屋をやりたい」という人がいたので「じゃあ、私の店の経営権を600万円で譲りますよ!」と売却した。オープンからわずか1年。ちょうど1000万円の損をかぶってしまったが、譲った店舗がほどなくして閉店してしまったことを考えると、あのタイミングが撤退するラストチャンスだったのだと思う。