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なぜ中国に勝てないのか?日本が「ベンチャー大国」になれない本当のワケ

失敗を「悪」と考えるな
永井 竜之介 プロフィール

日本がベンチャー大国になるには

日本の義務教育では、学生は既存のルールに従い、失敗しない練習を積む。優秀な学生ほど、失敗しなくなる。

だから、失敗したくない優秀な学生ほど、すでに大きくて強い、失敗する可能性の低い、安定した大企業に就職したいと考えるのは必然と言える。失敗を悪としていれば、多産多死を前提にしている起業やベンチャー業界へのジョインを積極的に考えられるわけがない。

企業では、減点評価をされないように、さらに失敗を敬遠して働いていく。多くの組織で、9回失敗して1回大成功するよりも、失敗せずに減点評価を受けない方が、優秀な人材と判断されやすい。場合によっては、1度の大失敗が取り返しのつかない低評価を招き、キャリア・アップの道が断たれてしまうことさえある。

だから特に、大企業に勤める優秀なビジネスパーソンほど、「最近いつ失敗しましたか」と聞かれれば、「失敗したことなんてない」と胸を張って答えるようになる。それは、「失敗しないで済むビジネスにしか取り組んできていない」と同義であるにもかかわらず。

「失敗を悪とする」価値観は、日本にとって、ベンチャー業界の人材難・未活性化と、ベンチャーによるイノベーションの不発、そして大企業・中小企業におけるイノベーションの不発までを招く、諸悪の根源とも言える病巣である。

こうしたデメリットが、「失敗を悪としない」価値観の中国では裏返り、ベンチャー業界の活性化、ベンチャーによるイノベーションの量産、大企業・中小企業におけるイノベーションの輩出を導くプラス要因になっている。

 

日本が「失敗を悪としない」価値観に改めるには、ルールを根本から作り替える必要がある。まず、失敗はマイナスではなく「0」と位置付ける。そして、挑戦を重ねることを奨励し、失敗したら「0」、成功すればプラスという加点評価のルールを設計することが求められる。

この新ルールにおいて、減点対象となるのは「挑戦しないこと」だ。個人と組織が「挑戦しないことを悪とする」価値観を持つことこそ、ベンチャー大国を目指す長い道のりの第一歩目になるだろう。