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なぜ中国に勝てないのか?日本が「ベンチャー大国」になれない本当のワケ

失敗を「悪」と考えるな
永井 竜之介 プロフィール

「失敗を悪としない」価値観

もうひとつ、ベンチャー大国に欠かすことのできない要因が、「失敗を悪としない」価値観の浸透である。

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決まったルールがなく、安定して正解に辿り着ける方程式がまだ存在しない領域において、チャレンジに失敗はつきものだ。だから、冒険的に「Get Big Fast(速く大きく)」を追い求めるベンチャー企業は、アメリカでも中国でも「多産多死」が当たり前である。

その多産多死の先に、革新的なビジネスを実現させるユニコーンが誕生する。起業してもユニコーンになれるベンチャーは1%以下であり、99%は失敗に終わる。その99%の失敗を糧に変えられる価値観がなければ、ベンチャー大国には到底なれない。

その点において、失敗を恐れない価値観を持つ中国人はベンチャー向きだ。彼らは失敗を、トライ&エラーを重ねる学習プロセスの一部として位置付けて、その先に成功を実現させればいい、と開き直って考えることができる。

また、挑戦と失敗をセットで考え、価値ある失敗を奨励する価値観も浸透できている。同様のキャリアを持つ2人が、似たようなビジネスプランをプレゼンした場合、1人は失敗なし、もう1人は失敗経験を語れるとしたら、失敗経験を持つ方が「行動力と対応力に優れている」と評価され、投資家から資金を獲得することができる。

 

対照的に、日本人は失敗に対して過度に憶病になる傾向がある。日本では「失敗は恥」であり、「優秀な人ほど失敗しない」という価値観が支配的に広がってしまっている。こうした日本における「失敗を悪とする」価値観は、物事を減点評価する学校教育・企業内評価と深く結びついており、それゆえに根深い問題になっている。