大学入試改革の深き闇…「Japan e-Portfolio」中止騒動がキナ臭すぎる

ベネッセに「再委託」が行われていた
田中 圭太郎 プロフィール

奇妙な経緯

「JAPAN e-Portfolio」は来年の大学入試(2021年冬〜春に行われる試験)から導入される予定だった。なぜ一般入試まで半年を切るようなこの時期まで判断が遅くなってしまったのか。

大学入試改革では、大学入試センター試験が大学入学共通テストに変更されることに伴って、英語民間試験や、国語と数学の記述式問題の導入が予定されていたが、昨年末にそれぞれ導入が見送られた。それに合わせるように、文科省は今年に入ってから「JAPAN e-Portfolio」についても態度を変えた。経緯を見てみよう。

まず今年2月、文科省は「JAPAN e-Portfolio」の運用に、ベネッセのID管理システムが使われていることを問題視する。教育情報管理機構は、「JAPAN e-Portfolio」の運用をベネッセに「再委託」し、ベネッセのID管理システムを借用していたが、文科省は特定の民間企業が持つシステムを使うと、受験生のデータが企業に利用されるのではないかという誤解を招くとして、このシステムの借用を解消するよう教育情報管理機構に指導した。

この点は、受験生のデータがベネッセの利益追求に利用されると、国会でも野党が再三指摘していたことだ。

 

3月には、文科省が「JAPAN e-Portfolio」の運営許可について審査を実施。2019年度の決算報告で財務状態が健全であるかどうかと、個人情報に関するセキュリティ管理体制が確認できればという条件付きで、運営許可の継続を認めていた。

しかし6月になって、教育情報管理機構の2019年度の赤字決算が明らかになると、運営許可取り消しに舵を切った。またセキュリティ管理体制について、文科省は外部機関の認証を得るよう指導してきたが、それもなされなかった。その結果、7月22日に萩生田文科大臣が方針転換を表明し、8月7日に運営許可を取り消したのだ。

文科省は段階的に問題点を明らかにしたようにみえるが、財務体質やセキュリティの管理体制などの問題点は、昨年までにある程度わかっていたはずである。この半年間にあわてて軌道修正した感は否めない。

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