山田洋次監督が初めての朗読劇に挑み、坂本龍一がこの番組のために特別に演奏を行ったのはなぜか?
その陰には「戦後がずっと続く社会であってほしい――」
と願う大スター吉永小百合の強い思いがあった。それを、吉永がインタビューで明かす。
さらに、この番組には謎がもうひとつある。主役をはる長澤まさみ、蒼井優、橋本環奈、黒島結菜といった大人気俳優から、テレビには基本出演しないという演劇界のレジェンド・加藤健一までも出演するのはなぜか? 番組ディレクター・築山卓観自ら、制作秘話を紹介。
今、当事者として誰もが予想だにしなかった新型コロナ禍のただなかにいる。自粛警察、同調圧力、医療崩壊、社会不安、そして身内や自身の感染への恐れ。
悲劇にたやすく巻き込まれていく人間を75年後の私たちに伝えるオムニバス番組「戦後75年特集『戦争童画集 ~75年目のショートストーリー~』」に期待が集まる。
終戦から75年がたち、なんとかこれからも「戦後」が続いてほしいという私の願いとは裏腹に、危惧する気持ちが強まっていました。
戦後であり続けるためには、かつて戦争があり、たくさんの方が亡くなって、絶対戦争はやめようと誓ってきたから今があるのだということを、大人も子どももしっかり持っていなければいけないと思います。
ところが、今年は、広島の平和記念資料館などの記念館を訪れることもできませんし、学校の休校さえあったわけです。
長年私も、被爆者の団体の方たちから詩をいただいたことがきっかけで、朗読会を行っています。でも、今年はやはり中止せざるを得なくなりました。
子どもたちにとっても、やっぱり今回の新型コロナの問題というのはとても大きいし、信じられないようなことがいっぱい起きています。
だからこそ、そういう中で、信じられないことが75年前にあったことも、今なら家族みんなで話せる、逆にそうした機会があるのではないかなと思うのです。
テレビでよその国の内戦が簡単に映し出されていたり、ゲームでは、戦争というものが人と人が殺し合うというふうに思えない、現実味のないものになってしまうのはよくわかります。
それに、私もかつて、平和は願えばくるものだと思っていたんですけれど、本でも絵でもいろんなかたちで、それぞれの人が語り続けなければ平和は続かないのだと思います。