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あまりに政治利権化しすぎた地球温暖化論議の「不都合な真実」

そろそろ科学的にまっとうな環境政策を

ホッケースティック曲線とは何か

2001年、IPCCの第3次評価報告で、マイケル・マン(米ペンシルバニア州立大学教授・気象学)が作成した「ホッケースティック曲線」が、気候温暖化が起こっている証拠として大々的に取り上げられた。

なぜ「ホッケースティック」かというと、このグラフによれば、10世紀から19世紀の終わりまで地球の気温はほとんど変化せず、1900年ごろから突然上昇する。だから、そのグラフ曲線が、ホッケースティックを横に寝かせたように見えるのだ。

ホッケースティック曲線(IPCC 2001)

ただ、地球の温度が10世紀から19世紀まで変わらなかったというのは明らかな嘘か、良くても勘違いだろう。16世紀から18世紀まで異常な寒冷期があったことは古気候学ではすでに知られている。

IPCCというのは、日本語の正式名は「気候変動に関する政府間パネル」で、気象庁のホームページによれば、以下のようになっている。

「人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織」

つまり、IPCCは国連に属する組織であり、世界の気候の専門家が集まっている。なのに、なぜかこのような誤った報告が取り上げられてしまったのだ。

物理学者で、温暖化問題の第一人者杉山大志氏によれば、「10世紀から14世紀にかけてはバイキングが活動する『中世温暖期』があり、また17世紀から19世紀にかけては世界各地で氷河が発達する『小氷期』があったことが古気候学者に広く知られていた」という。

だから当然、マンのホッケースティック曲線は激しい反論を呼び起こし、結局、IPCCもその後、中世の北半球は今と同じくらい暑かったことを、はっきりと認めた。ただIPCCは、「2001年報告が誤りだったとは言わずに、(第4次評価報告では)淡々と違う図が報告された」と杉山氏は、著書『地球温暖化問題の探究』に記している。

 

つまり、ホッケースティック論は静かに消えた。そして、消えたにもかかわらず、一般の人々の頭の中にはこの図だけが鮮明に残った。これが名だたる科学者たちの揃った世界的機関のやることだろうか?