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話題作「梨泰院クラス」、韓国と日本の評価はなぜ分かれたのか?

本当に「共感」したのは誰か
ペ・リョソン プロフィール

思ったよりも低い「韓国での評価」

映画・ドラマ・アニメを紹介する韓国のアプリ「WHATCHA PEDI」によると、梨泰院クラスの評価は5点中3.3だ。

社会問題について様々な角度から考えさせられたという前向きな声もあれば、男のロマンをひたすら描いたドラマにしか過ぎないという厳しい評価もしばしば見られた。

「WHATCHA PEDI」の「梨泰院クラス」評価画面。なお日本での評価は4.1点だ

「梨泰院クラス」は、もともと電子コミックとして大ヒットし、そのあとにドラマ化された。原作漫画の時点でかなり評判が良かったため、改めてドラマを見て感動があったわけではなかったそうだ。

 

作中で描かれる「社会問題」

20代の韓国人の女性によると、韓国にはもともとLGBTを扱ったドラマや映画が少なかったという。

「韓国で問題視されている、トランスジェンダーやアイデンティティ、人種差別についての問題が作品の中に組み込まれていて、かなり現代的でポジティブなメッセージが伝わってきた。周りの友人には原作ファンが多い。

ドラマと漫画においても、内容について批判する人は少なく、みんな両方とも楽しんで見ていた。最近の若者は数年前と比べて、同性愛やジェンダーなどのトピックについてオープンで積極的であると考える。最近はイギリスのように、韓国でもLGBTのための祝典が行われたりもしている」

彼女がドラマで扱われた課題の中でほかに深刻だと考えたのは、人種差別だそうだ。

ドラマでは、韓国人の父親を持つケニア出身の青年が、自身を韓国人だと主張するが誰にも理解してもらえないシーンがある。このようなことが実際に韓国で起こっていることを、否定できないと若者たちは答えた。

数年前と比べると改善されたとはいえ、韓国ではアイデンティティや多様性の受け入れがまだまだ浸透していないようだ。未だに街中にいる外国人を、不思議そうに見る傾向があるそうだ。

筆者の知る韓国に訪れたことがあるヨーロッパや南米の若者たちも、滞在中、韓国人たちから送られる視線にかなり戸惑ったと話していた。とにかく物珍しそうに凝視される体験を何度もしたそうだ。

近年は、梨泰院を中心に多くの外国人が韓国に住んでおり、韓国社会で働く者もいればテレビ番組にも積極的に出演している著名人もいる。ナイジェリアに父を持つ「韓国人モデル」のハン・ヒョンミンや、ガーナ人タレントのサム・オチュリがそうだ。

彼らの姿を通して、初めはピンとこなかったアイデンティティの多様性を、多くの韓国人が理解するようになったそうだ。

ドラマや番組を通し、グローバルな課題を積極的に発信することによって、韓国社会では少しずつ異文化を理解する動きが生まれているようだ。作品の反響は大きかったが、全ての世代がそれらを理解し、課題意識を持てるようなるには、まだまだ時間を要するだろうと、韓国人の女性は残念そうに答えた。