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これが長期停滞の元凶…コロナ禍が暴いた日本IT化「絶望的な遅れ」

「e-Japan戦略」20年後の実態

日本のITシステムに大きな問題があることが、新型コロナ禍で明るみにでた。政府の事務処理システムだけではない。在宅勤務の遅れなど、民間企業にも問題がある。

これは、コロナとの戦いで問題をもたらすだけでなく、日本の生産性を引き下げる。世界競争力ランキングで、日本は過去最低の34位になった。

紙ではコロナと戦えない

日本のITシステムに大きな問題があることが、新型コロナ禍で明るみにでた。この連載ですでに書いてきたが、改めてまとめてみると、つぎのとおりだ。

まず、政府の事務処理システムでIT化されていない部分が多く、コロナ対策として必要とされるさまざまな課題への対応で問題が生じた。

定額給付金申請では、マイナンバーを使ったオンライン申請が可能とされた。しかし、市区町村の住民基本台帳と連携していなかったため、自治体の職員は台帳と照合する膨大な手作業を強いられ、現場は大混乱に陥った。

その結果、100以上の自治体がオンラインの受け付けを停止した。「オンラインより郵送の方が早い」という信じられない事態になった。その後も、給付金の振込みは時間がかかった。

・雇用調節助成金も、5月20日からオンライン申請が可能とされた。しかし、トラブルが起きて、スタートからわずか約2時間で停止した。6月5日に再開したが、約3時間で再び停止した。

・政府が提供した「接触確認アプリ」も、6月19日の運用直後から不具合を起こした。

・新型コロナウイルスの感染者数把握のために、FAXで情報を送り、手計算で集計していた。この作業が保健所に過大な負担をかけた。厚生労働省の新システムであるHERSYSが5月末に稼働を始めたものの、東京、大阪は導入せず、いまだにFAXに頼っている。接触感染アプリはHERSYSを前提にしている。それが稼働しないので、手動で情報を入力している。

・霞が関の省庁間では、システムの仕様の違いからコロナ対策を協議するテレビ会議ができなかった。やろうとすると、複数の端末が必要だった。

・日本総研の調査だと、国の手続きでオンラインで完結できる割合は7.5%しかない。

・オンライン教育に移行できない。文部科学省の4月16日時点の調査によると、休校中または休校予定の1213自治体のうち、デジタル教材を使うのは29%で、双方向型のオンライン指導をするのはわずか5%だった。ハフポスト日本版が都内23区にオンライン授業に関するアンケート調査を行なったところ、オンライン授業を行う予定があると回答したのは、港区だけだった。

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・遠隔医療の対象が拡大されたが、実際には進まない。日本医師会は、初診からのオンライン診療は、情報のない中での問診と視診だけの診療や処方となるため、大変危険であると、従来から主張してきた。そして、今回の措置が「時限措置」であることを強調している。こうした事情を考えると、特例として導入はされたものの、元に戻りそうだ。