「あまびえ」の初登場  図版:京都大学図書館

「疫病=コロナ」退散のために妖怪の姿を護符にして神として拝もう

危機になると日本人には怪異が見える

アマビエは174年前、肥後の国に現れた

この8月、『疫病退散 日本の護符ベスト10』(サイゾー)という本を刊行した。

新型コロナ・ウイルスによる感染は世界に広がり、東京でのオリンピックが延期される事態にまで発展した。多くの感染者、死者が出て、急激な勢いで進んできた世界をまたにかけての人の移動にも大幅な制限が加えられることとなった。

これから世界はどのようになっていくのか、それを見通せない状況が続いている。

疫病の流行は、古代からくり返されてきた。現在では、その原因が医学的に突き止められ、ウイルスや細菌の仕業であることが明らかになってはきたものの、昔は、その原因をつかむことができず、人々はその終熄を神仏に祈るしかなかった。

日本の場合、興味深いのは、疫病をもたらす存在が神仏として祀られ、疫病除けのご利益を期待されてきたことである。

今回も、厄病除けの妖怪として「アマビエ」に注目が集まった。

「肥後国海中の怪(アマビエの図)」 京都大学付属図書館蔵

アマビエが出現したのは弘化3年(1846年)のことで、幕末の時代が近づいていた。アマビエは、肥後国、今の熊本県の沖合いに現れた。

光る物が出現したというので、役人が行ってみると、それはアマビエと名乗り、今年から6年の間は豊作だが、疫病が流行るので、自分の姿を写して、人々に見せるようにと告げて、また海のなかへ消えたというのである。

 

日本でいつどういった疫病が流行したかについては、富士川游という医学史家の『日本疾病史』(平凡社東洋文庫)に詳しいが、それを見ても、弘化3年に疫病が流行ったという記述を見出すことはできない。その点では、アマビエの予言は外れたことになるが、現代ではこうした妖怪は「予言獣」と呼ばれている。